信頼し合える仲間をもつこと

 職務を遂行するうえで、基礎が大切だと申し上げましたが、すべてを一人で完結するには時として困難が伴います。自分の能力や経験を超えた問題に直面することもあれば、解決方法が見出せず行き詰まってしまうこともあるでしょう。

 そうしたときに、教え合える組織風土が根付いていると、大きな助けになります。たとえ、同じ場所で働いていなくても、情報を共有し合い、コミュニケーションが自由に取り合える関係性があると、組織力もアップします。

 先日も、大手メーカー勤務のアラフォー女子が、「分からないことがあっても誰にも相談しないで、勝手に自己判断で仕事を進めてしまう人が多い」と嘆いていました。相談せずに進めてしまった結果、やり直しに時間がかかって納期に間に合わないことがあったそうです。同僚ばかりか大切なお客様に迷惑をかけてしまい、部長から大目玉を頂戴したとか……。「言い訳は弁が立つのに、プライドや遠慮があるのか、聞こうとしない」と残念そうな表情を見せていました。

 似たような話を最近よく耳にするのですが、それは本人だけの問題とも言い切れず、教え合う職場の雰囲気が醸成されていないことも、原因の一つとして考えられるかもしれません。

 なかには聞くことに対して、抵抗感を持っている人もいるようですが、分からないことがあれば素直に教えてもらう、という姿勢も大切です。ただし、自分で何も考えず、すぐに答えを与えてもらおう、というのはただの甘えに過ぎません。

 自分らしい働き方を求める中で、自分自身を見つめ自律(自立)していくことも大切ですが、仲間を信頼し、支え合い、自分ひとりではできないことができるようになることも、大きな成長と言えるでしょう。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA

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