免除や猶予制度なども利用しよう

 国民年金の保険料を納めていない場合、2年以内であれば遡って納付することができます。救済措置として、過去5年以内の未納分を納めることができる後納制度が実施されていましたが、2018年9月28日までの手続きで終了します。

 収入が減ってしまったり、失業したりした場合など、経済的な理由で国民年金の保険料を納めることが難しいときは、免除や納付猶予の制度があります。

 免除制度は、前年の本人・世帯主・配偶者の所得が一定額以下のときに、承認を受けられれば保険料の全額または一部を納めなくて済む制度です。大学や専門学校などに通う学生には、学生納付特例があり、本人の所得が一定以下であれば、保険料を納めずに済みます。

 納付猶予は、本人と配偶者の所得が低いときに、申請して認められると保険料の納付が猶予される制度で、50歳未満の人が対象となります(2025年6月までの時限措置)。

 こうした免除、納付猶予、学生納付特例の承認を受けた期間は、老後の年金ばかりでなく、障害や遺族年金を受けるための加入期間としてみなされます。しかし、何の手も打たず放置したままで、未納になってしまった期間は、年金を受け取るための加入期間には入りません。

 例えば、期せずして障害の状態になったときに、こうした制度を利用している場合と、未納の場合とでは大きな差が出ます。障害基礎年金を受けるには、初診日の前々月における直近1年間に未納期間がないこと、初診日の前々月におけるすべての被保険者期間のうち、3分の2以上が保険料納付済期間または保険料免除期間であることの、いずれかの要件を満たす必要があります。病気やケガをした後で、国民年金保険料を納めても手遅れになってしまいます。

 なお、国民年金の免除制度や納付猶予制度、学生納付特例を利用した人は、受け取る年金額を増やすために免除や猶予されていた期間の保険料を後から納めることができます。これを追納制度といい、追納できる期間は申し込みをして承認された月の前月から10年以内の期間となります。

種別変更の届出は特に注意しよう

 このように、人生の転機においては、国民年金の種別変更の届出があることも知っておきましょう。公的年金制度を活用するには、未納期間をつくらないことがポイントです。うっかり届出を忘れてしまうことで、年金がもらえないリスクもあるので注意が必要です。

会社員からフリーランスになる人は、期日までに手続きを行いましょう (C)PIXTA
会社員からフリーランスになる人は、期日までに手続きを行いましょう (C)PIXTA

 人生の節目においては、国民年金の種別変更の届出が漏れなく対応できているか、ぜひ確認してくださいね。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA