こんにちは、「ワークルールとお金の話」の佐佐木由美子です。最低賃金は毎年10月をめどに見直しが行われます。政府は最低賃金を毎年3%程度引き上げ、「時給1000円」の実現を目指していますが、2018年度はいったいどうなるのでしょうか。

最低賃金は2002年度以降、最高額を更新する見込み

 東京都の現在の最低賃金は958円です。しかし、時給1000円が「最低賃金」として確約される日が、東京では間近に迫っています。都道府県労働局に設置されているすべての地方最低賃金審議会で調査・審議結果が取りまとめられ、2018年度の地域別最低賃金の改訂額は全国平均で26円引き上げられることになりました。

 各都道府県の引き上げ額の目安については、地域の経済実態に応じて4ランクに分けて上げ幅が示されていました。地方最低賃金審議会の答申では、東北、中四国、九州などを中心に、中央最低審議会の目安額を超える引き上げ額が23県にのぼります。東京の引き上げ額は27円。現在の東京の最低賃金は958円ですから、27円アップすると「985円」。このペースで改定が進めば、来年度にも1000円を超える可能性が現実味を帯びてきました。最高額(東京985円)に対する最低額(鹿児島県761円)の比率は77.3%(昨年度は76.9%)と4年連続で改善し引き上げ額の最高(27円)と最低(24円)の差が3円(昨年度は4円)に縮小しました。

 今後、各都道府県労働局長により決定されますが、答申通りなら全国平均は、874円となり、最低賃金が時給で決まるようになった2002年度以降で最高額となる引き上げとなります。

 社会全体で人手不足が叫ばれている昨今、人材獲得のために「時給の値上げ合戦」が繰り広げられ、最低賃金引き上げに拍車がかかっているともいえます。

人手不足が深刻な日本。最低賃金の引き上げに拍車がかかっています (C)PIXTA
人手不足が深刻な日本。最低賃金の引き上げに拍車がかかっています (C)PIXTA