住民税が「増える」のはこんな人

 6月給与から住民税がアップしてしまうのは、どのような人たちなのでしょうか? ポイントは、昨年1月から12月までの所得。たとえば、次のような人が当てはまります。

昨年の給与改定で、大幅な昇給があった。

昇格したり、資格を取ったりして、手当が増えた。

会社業績が良く、臨時ボーナスや決算賞与をたくさんもらった。

残業が多く、例年と比べて時間外手当がたくさん支給された。

転職して給与が大幅にアップした。

 このような理由で、所得が前々年度よりもアップした場合は、住民税もそれに応じて高くなります。そうなると、給与の控除額が多くなるので、必然的に手取りが減ってしまうことに…。給与が上がって嬉しい反面、ちょっと複雑な気持ちになりますね。

住民税が「少なくなる」のはこんな人

 住民税が少なくなるのは、上記と逆の人たちを想い浮かべていただくとわかりやすいでしょう。それ以外のケースもありますので、ここで確認しておきましょう。

昨年のボーナスが大幅にカットされた。

残業が少なく、時間外手当が減った。

転職して給与が大幅に下がってしまった。

病気などで休職したために、年収が減った。

産前産後休業や育児休業などを取って、年収が大幅に減った。

昨年働いていなかった、または年度の途中から働き始めた。

 このような理由から、結果として昨年1月から12月までの所得が前々年度よりも下がってしまった場合、住民税が低くなることが考えられます。場合によっては、非課税となることもあるでしょう。

 住民税は、現在の給与と連動していない点に注意する必要があります。稼いだお金から納付すべき住民税が決まるまでに、一定のタイムラグがあるということを覚えておいてください。

転職・退職時は注意して!

 そこで、注意したいのは、転職をした人たちです。住民税は基本的に前年度の所得に基づいて決められます。前年度の所得について会社が「給与支払報告書」を作成し、今年1月1日に従業員の住所がある市町村へそれぞれ報告しているため、市町村が情報を把握することができるのです。

 今年になって会社を退職した人は、5月分までの前年度分の住民税を前職の会社で一括して支払っていることが多く、この場合、市町村は退職したという情報はあっても、今どの会社で働いているか、または無職であるか、といった情報までは持ち合わせていません。そのため、今年度の住民税は、普通徴収の取り扱いとなって、自宅に納付書が届いてしまうことになります。

 会社で天引きされる場合は、1年間の税額を12分割で徴収されるので、それほど負担に感じないかもしれません。ところが、普通徴収の場合は、4回の分割払いか一括払いとなるため、負担が大きくなってしまいます。そのため、ついつい納付が遅れてしまったり、納付漏れが起きてしまったり…という事態になりかねません。

 このような場合は、特別徴収への切り替え手続きを行うとよいでしょう。市町村から送られてきた普通徴収の通知書一式を会社に提出し、会社経由で「特別徴収切替届出(依頼)書」を市町村に提出すれば、特別徴収用の新しい住民税額通知書を交付してもらえます。

 こうした税金に関することは、普段私たちが慣れていないだけに、ちょっと面倒だと思われるかもしれません。でも、そのまま放置しておくのはNG。退職や転職をされる方は、住民税についても会社に確認しておくとよいでしょう。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA

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