派遣社員として勤務する場合の注意点
派遣社員として勤務されている場合、有期労働契約を結んでいれば無期転換の対象となります。この場合、派遣会社と締結している労働契約の通算契約期間が5年を超えた場合に、派遣会社に対して無期転換の申し込みをすることができます。派遣先の企業ではありませんので、ご注意ください。
ただし、登録型派遣の場合、派遣される都度、派遣会社と有期労働契約を締結し、派遣先に派遣されることになります。同じ派遣会社との間で通算契約期間が5年を超えると、無期転換申込権が発生しますが、単に派遣会社に登録している状態では通算契約期間にはカウントされません。
登録型派遣の場合、労働契約がない期間があることも考えられます。一定以上無契約期間があると、前の有期労働契約期間は通算されなくなるので注意が必要です。これをクーリングといいますが、派遣社員に限らず、有期契約で働く方全般に適用されます。
【無契約期間の前の通算契約期間が1年以上の場合】
無契約期間が6カ月以上の場合:その期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含まれません(クーリングされます)。
無契約期間が6カ月未満の場合:その期間より前の有期労働契約も通算契約期間に含まれます(クーリングされません)。
【無契約期間の前の通算契約期間が1年未満の場合】
無契約期間の前の通算契約期間に応じて、契約のない期間がそれぞれ下記表の右欄に掲げる期間に該当するときは、無契約期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含まれません(クーリングされます)。その場合、契約がない期間の次の有期労働契約から、通算契約期間のカウントが再度始まります。
無契約期間の前の通算契約期間 | 契約がない期間(無契約期間) |
2カ月以下 | 1カ月以上 |
2カ月超~4カ月以下 | 2カ月以上 |
4カ月超~6カ月以下 | 3カ月以上 |
6カ月超~8カ月以下 | 4カ月以上 |
8カ月超~10カ月以下 | 5カ月以上 |
10カ月超~ | 6カ月以上 |
今後のキャリアパスを考えて
無期雇用になったからといって、それで安泰だとあぐらをかいているわけにはいきません。変化の激しい時代に、一つの企業が長期的に存続するとは限りませんし、企業の合併買収(M&A)など組織そのものが無くなってしまう可能性もあります。
また、急速な技術革新によって、これまでの仕事がAIに取って代わられることは十分に考えられます。単純な作業が多い仕事や雇用調整がしやすいといった理由で有期労働契約であるとするなら、無期転換をしても仕事を失ってしまう可能性は否定できません。
これからの長い仕事人生の中で、今の仕事がどのくらい続きそうか、今後どのようなスキルを身に付ければ活躍できるか、など絶えず考えて学び続け、キャリアパスを自分で模索・構築していくことが大切といえるでしょう。
文/佐佐木由美子 写真/PIXTA