こんにちは。「ワークルールとお金の話」の社会保険労務士 佐佐木由美子です。目薬大手の「ロート製薬」が、2016年4月より国内の正社員約1500人を対象に、副業制度を導入することを発表しました。制約を超えた働き方は、今後広がって行くのでしょうか?

多様化する働き方

(C)PIXTA
(C)PIXTA

 ロート製薬が常識の枠を超えてチャレンジすることができる仕組みとして、2つの制度を発表しました。ひとつは、就業先を届け出れば休日や平日の終業後に他社で働き、収入を得ることを認める「社外チャレンジワーク制度」。もうひとつは、今の部署にとどまらず、複数の部門・部署を担当できる「社内ダブルジョブ制度」。社外チャレンジワーク制度は、会社の枠を超え、より社会へ貢献し自分を磨くための働き方ができるようにしたものですが、社外での人脈や技能を持ち帰り業務に生かすことで、さらに多様性が深められるというねらいもあります。

 なぜ、ここにきて副業や兼業が「解禁」となったのでしょうか? これまでの常識では、副業は原則禁止で会社が認めた場合に限る、といった具合に、表立って「副業をしています」とは言いにくい状況でした。

 膨大な残業が当たり前で時間もなく、出世にも影響が出るとなれば、副業など考えられないといった現実があったことでしょう。もちろん、今もそうした職場は多いと言えますが、一方でワークライフバランスが重視されるようになり、多様な働き方がますます求められる時代にもなりました。

 また、自分の得意な専門分野を活かして、地域活動やNPOなどの社会貢献に取り組むプロボノ(各分野の専門家が知識や経験を活かして社会貢献するボランティア活動)も広がりを見せています。

 ダブルワークで自分の夢や目標に向かっている人もいれば、副業はあくまでも生活のための収入補てんだという人もいるでしょう。一生、ひとつの企業で定年まで勤めあげる時代が終焉を迎えた今、私たちはもっと自由に生き抜く術としての働き方を考えるときなのかもしれません。