コスメティック・バイオレンス?

 思えば、私たちは様々な香りに包まれて生活をしています。それぞれの嗜好が影響するものですから、一概に「これがいい」「これがダメ」とは言えません。

 隣の部署にいる先輩女性も、本人にとっては素晴らしく良い香りで、それが仕事のモチベーションを高めている、と言えるかもしれません。当然、本人はよいものだと思って疑わず、他の人に迷惑をかけているなど想像すらしていないことでしょう。

 香水や化粧品の強烈な香り…これを「コスメティック・バイオレンス」と言う人もいます。またニオイに関するトラブルを「スメハラ(スメル・ハラスメント)」と称する人もいます。人それぞれの嗜好や感受性によって、本人にとってはよいものであっても、他人にとっては凶器にもなり得るとしたら…それは由々しき問題です。 まして、職場のように、一日中顔を合わせて仕事をする場所での話となると、ちょっとの我慢では済まされません。

 そうしたニオイが、美乃利さんの仕事効率を著しく低下させ、健康にも問題を生じさせているなら、勇気を出して相談すべきです。確かに、こうした話題はある意味センシティブで、言いにくいものです。相手を傷つけてしまうかもしれない、と思うと、余計に憂鬱になってしまうかもしれません。

 この場合、社内にある相談窓口に、職場環境と健康という視点から話をしてみるとよいでしょう。使用者は、労働者に対して、働きやすい職場環境を保つように配慮する義務(職場環境配慮義務)があるとされています。何等かの適切な対策を取ってもらえるように働きかけてみましょう。

文/佐佐木由美子

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