こんにちは、「ワークルールとお金の話」の佐佐木由美子です。会社からスマートフォン・携帯電話などの携帯情報端末を貸与されて働く方は少なくないと思いますが、一方で勤務時間外にかかってくる電話への対応が悩ましいという声も……。

昼休み中の電話対応

 会社からスマートフォンが貸与されるようになったという和恵さん(仮名)。以前は仕事中、急ぎのときにはやむを得ず自分のスマートフォンを使っていましたが、特に会社から手当の支給もなかったため、持ち出しがなくなった分最初はよかった、と思いました。

 しかし、会社からスマートフォンが貸与されるようになってから、昼休み中や退社後にも上司から電話がかかってくるようになりました。会社のスマホだと思うと、電源を切るのもためらわれ、かかってきたら出るようにはしていますが、この状態がずっと続くかと思うと憂鬱で仕方がないと感じています。

貴重な昼休みにも電話がかかってきて、休んだ気にならない  (C) PIXTA
貴重な昼休みにも電話がかかってきて、休んだ気にならない  (C) PIXTA

 和恵さんのように、会社から貸与された携帯情報端末によって、かえって束縛されてしまっていると感じている方は少なからずおられるのではないでしょうか。仕事が終わってくつろいでいる時間や、休日などに仕事の電話があると、確かに気も休まりません。

 労働契約の締結によって、労働者は使用者に対し、労働契約、就業規則、労働協約等の規定上の根拠に基づき、労働義務を負うことになります。しかし、無制限に労働させることはできませんし、会社の上司だからといって、部下をいつでも自由に使えるわけではありません。

 労働時間とは、使用者の指揮監督下にある時間をいいますが、必ずしも現実に体を活動させている場合に限らないものとされています。実作業には従事していないものの、使用者から指示があれば、いつでも応じられる状態で待機しているような時間は、「手待ち時間」といい、労働時間に当たります。

 行政解釈においても、「休憩時間とは単に作業に従事しない手待時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取り扱うこと」(昭和22年9月13日発基17号)とされています。

 スマートフォンを携帯している場合は、場所的な拘束は受けることはありませんが、昼休み中も頻繁に上司から電話がかかってきて、すぐに対応しなければならない状態が常態化しているようであれば、「労働から離れることを保障されている時間」とはいえません。そもそも休憩時間が適切に取られておらず、手待ち時間のようになっている可能性も考えられます。