疲労回復の休養が本来の目的

 法律上において年次有給休暇は、6カ月継続勤務して、全労日の8割以上出勤した労働者に対して、10労働日を付与することとなっており、付与日数は勤続年数に応じて加算されます(労働基準法第39条)。週の所定労働時間や労働日数が少ない場合であっても、働き方に応じた日数の年休が与えられます。

 年次有給休暇は、疲労回復の休養を目的としているため、1日単位が原則となります。行政解釈においても、「労働基準法第39条に規定する年次有給休暇は1労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない」としています(昭和63年3月14日基発150号)。

 ただし、労働者が希望し、使用者が合意した場合であれば、労使協定が締結されていなくとも、日単位取得の阻害とならない範囲で半休を与えることは可能です。

半日単位で取得できるようにするには?

 会社は、社員が遅刻をカバーするために半休を使用してもらいたくない、年次有給休暇の残日数管理や勤怠集計が煩雑になる、職種や雇用形態から半休とするのが難しい、など様々な理由から、年次有給休暇の半日単位制度を導入していない場合もあるでしょう。

 一方、社員側からすれば、病院や役所に行くなど、半日あれば十分に用が足りる場合もあり、合理的に年次有給休暇を利用したい、という考え方もあるかもしれません。状況に応じて、うまく使い分けることができれば、休み方の選択肢も広がります。

 睦美さんのように、半日単位で利用したいと思う人が職場に多数いるのであれば、会社にそういった希望があることを伝え、半休制度が利用できるように検討してもらうのも一つの方法といえます。

 なお、年次有給休暇を時間単位で取得したい、という意見もあるでしょう。ただしこの場合は、労使協定の締結が必要となります。年に5日を限度とするルールはありますが、労使協定を締結すれば、時間単位で年次有給休暇を取得することもできるようになります。