こんにちは。「ワークルールとお金の話」の社会保険労務士 佐佐木由美子です。今年は例年になく暖冬が続いていますが、これからが冬本番。インフルエンザなどの感染症が流行する時期は、特に体調管理に気をつけたいものですが、もし病気になってしまったら…!?

風邪と誤診、実はインフルエンザ

 冬になると、職場は暖房で常に超乾燥状態がお悩みだという亜沙子さん。かといって、接客業務もあるため、マスクをすることもできません。ある日、身体がとてもだるく寒気もするので、早退して病院に行ったところ、風邪だと診断されました。

 しかし、薬を飲んでも一向に良くならず、むしろ高熱でますます具合が悪くなるばかり。再度病院に行って検査したところ、インフルエンザと診断されました。薬を飲むタイミングを逸してしまったせいか、思った以上に長引いてしまい、結果として5日以上も仕事を休んでしまいました。

 年次有給休暇を充てようと総務部に申請したところ、わずか1日しか残っていなかったことが判明! ちょうど来月、新年度の年次有給休暇が付与されるタイミングだったのです。

 「来年こそは予防接種を受けよう」と心に誓うも、後の祭りです。仕方なく、5日分が欠勤控除されてしまいました。その額およそ5万円、医療費もかかって、散々な年末となってしまいました。

 最初は風邪だと思っていたら、実はインフルエンザだった…。亜沙子さんのようなケースは、決して他人事ではありません。病院に行けば、簡単にインフルエンザの検査をすることはできますが、発症から12時間以内の場合、体内のウイルス量が少ないために陰性と判断されることもあるからです。

 適切に対処して安静にしていれば快復も早いといいますが、一般的にインフルエンザ発症前日から、発症後3日~7日間は、感染のおそれもあるため外出を控える必要があると言われています。

 時々、熱が下がったからもう大丈夫と、すぐに出社される人もいるようですが、周囲に病気をうつしてしまったら大変! 職場への配慮も含め、休むべきときには休む、というのが鉄則ですね。

 しかし、病気になったうえに欠勤控除というのは、確かに手痛いものです。日頃から年次有給休暇を使えず、有り余っている…という方なら、年休を使って補てんするのがベストでしょう。ところが、亜沙子さんのように、手持ちの年休で補えない場合は、いったいどうしたらよいのでしょうか?