経営コンサルタントの山本さん、真剣すぎて笑えてきます。当日、ご指定のお店は10分以上並んで待たなければならない混雑ぶり。しかも、山本さんは「出かける直前に会社から電話が入ってしまった」とのことで15分ほどの遅刻。原田さんに至っては「緊張して逆方向の電車に乗ってしまった」と30分以上遅れてきました。この2人、真面目なのにちょっと抜けているところがお似合いかもしれません。

 お付き合いが前提ではなく、2人ともコミュニケーション能力が高いため、会話はかなりスムーズでした。一人で国内外の旅行をするのが趣味の山本さんに対して、原田さんは平家物語の絵巻物を観るために岡山県の美術館に行った話を披露。お互いに「違いを楽しむ」雰囲気になりました。

 ここで僕が援護射撃。事前の面談で、原田さんが事前に「キャリアアップや仕事に前向きそうな山本さんに惹かれた」と言っていたことに触れ、山本さんに見せ場を作ったのです。いいぞ、オレ!

 「僕も後ろ向きになるときもありますよ。でも、常に外向きでありたいと思っています。視野を広く持っていたいので。大学院に通ったのも大いに意味がありました」

 おお~、謙虚かつ力強いセリフですね。心なしか原田さんのまなざしが尊敬の念を強めているように感じました。これで僕ができることはすべてやりました。コーヒー代を置いて退散。あとはよろしく!

 翌日、2人から以下のようなメールをもらいました。結論から言えば、「ちょっと残念」なものでした。

 <私は山本さんに好感を持ちましたが、なんとなく山本さんの好意は感じず、押しても何も起こらなさそうだと思いました。残念ながら「次もぜひ会いましょう」という雰囲気になりませんでしたが、山本さんにはお茶代もご馳走しいただきました。だからと言うわけではないですが、お会いした印象はやはりちゃんとした方でした。山本さんは穏やかなので、私がペラペラと余計なことを話し過ぎたかもしれませんね。また大宮さんを交えてなら良き話し相手になれるかもしれないという感じでしょうか>(原田さん)

 <原田さんは知的で、常識的であり、お仕事をがんばっていらっしゃる方でした。魅力的な方であると思います。原田さんのほうからかなりお話していただき、楽しんでいただけている様子もうかがえました。ご友人として交際を続けたいとは存じますが、連絡先を交換しても、特に連絡をしないようであれば、それはそれで失礼ではないかと思っております。正直なところ、こちらから連絡をとるイメージがあまり湧きませんでした。

 ひょっとすると、お会いした際の第一印象で判断してしまっている可能性もあります。異性に会うというよりは、同性の友人に会うようなカジュアルな服装で来られたな、という印象を受けました。元々、お会いするコンセプトが「友人として」ですから間違っていないですし、あえてそのような服装でいらっしゃった可能性もあります。しかも、私のことを棚に上げているので、申し訳なく感じております。

 今後のコミュニケーションをどのようにとればよいのかわかっておりません。例えば、「最近元気?飲まない?」といったことも、親しい友人とでなければしておりませんでした。交流の幅を持たせるために、そこは改めなくてはならないのかもしれませんね。これは、人と関わる能力の不足によるところだとも思っております>(山本さん)

 うーん、最後までかみ合わなかったようです。「また会ってみたい」と双方が思わなければ友だちになることも難しいですよね。2人とも考え込まずに「次」に行きましょう。僕が応援します!

イラスト/つぼいひろき