こんにちは。毎週「お見合いおじさんは見た! 」のコラムをお届けしているライターの大宮です。さきほどぼんやりとNHK『あさイチ』を観ていたら、「運がいい人と悪い人の違い」特集でした。手間暇かけた心理実験などもやっていて見ごたえがあったのですが、最後のほうでキャスターのいのっち(V6の井ノ原快彦さんですね)が、「すごく大変な状況に置かれた人もいるんだから、自分は運が悪いなんて簡単に言っちゃいけない」という趣旨のことをさらりと言っていたのが印象的でした。

 僕も同じようなことを考えました。「自分は運がいい」と公言するのは「私は天から愛されている」と自慢するようなもので、家庭の外ではあまり言うべきではない気がします。何か良いことがあったり、悪い状況でも最悪の事態は避けられたら、「運がいい」ではなくて「ありがたい」という気持ちを関係者に持つべきではないでしょうか。

 エラそうなことを言っていますが、僕も20代の頃は「ありがたい」という気持ちはまったくありませんでした。人間はそれぞれが自分の利害を追求して生きているのだから、誰かに何かをしてもらったとしても「ギブ&テイクでしょ」と思って疑わなかったのです。我ながら傲岸な若者でした。

 今年で四十路に突入する今では、少しだけ世の中がわかってきました。たとえ仕事であったとしても、好きな人にはできるだけのことはしてあげるし、苦手な人は忌避するものなのだ、と。どんな相手にでもちゃんと接することができる立派な人は少数派ですよね。つまり、誰かに何かしてもらえるということは、こんな自分でもちょっとは愛されていて、少なくとも嫌われてはいないのだと推測できます。

 冒頭の番組では、貯金が619円しかないのに「アメリカ旅行に行く!」とフェイスブックで宣言したら、母親が自分名義で積み立てていたお金を思い出して餞別として振り込んでくれたという40代女性が「運がいい人」として登場していました。私は運がいい!と喜ぶ前に、優しくてきっぷのいい母親に感謝するべきでしょう。帰国したらちゃんと貯金して、今度はお母さんに少しずつでもお小遣いを渡してください。