また、その文言も時には過激になっている。ある家の前を車で通ると、ヒラリーとトランプの両方の名前の看板が2つ立てられていた。「一家でも、夫婦で意見が違うのかね」と話していたのだが、近づいて、よく見てみると、ヒラリーの方の看板には、“Hillary for prison!”と書かれているのだから、ギョッとしてしまう。

見る者をドキリとさせる過激な看板。トランプ支持に回らせるだけの効果はあるのだろうか?
見る者をドキリとさせる過激な看板。トランプ支持に回らせるだけの効果はあるのだろうか?

 こうした看板を掲げることは、ごく一般的なことなのに、周囲のアメリカ人でさえ、ご近所さんがトランプサインを出していると、「どんな人なんだろうとジロジロ見てしまう」「ちょっと怖い」「見る目が変わってしまう」など、いつもとは違った反応を示している。

庭先だけでなく、家にまで看板を掲げる家も
庭先だけでなく、家にまで看板を掲げる家も

 今回の大統領選は、色々な意味でアメリカを二分しかねない選挙とさえ言われている。国内にたまった鬱憤をせっせと掘り起こし、火をつけようとするトランプ氏と、それに熱狂する支持者たち。そして、それを傍から冷静に、また時には馬鹿にしつつ、対立候補のクリントン氏にも賛同できないという、もう片方の人たち。とまどうアメリカ人の様子が今回の選挙の看板やステッカーにも表れているのかもしれない。

文/小路夏子