処理に困る情報…じゃあどうする?

 「気になることは主治医に聞いてみてね」と前置いた上で、「感染自体はワクチンでは防げないけど、発症を抑えたり重症化を防げる可能性がある」こと、「特に重症化しやすい妊婦や高齢者などは接種が望ましいとされている」ことなどを伝えた(それでもメッセージアプリでやり取りするには十分に長文になった)。どの程度理解してくれたか本当のところは分からないが、「もう一度考えてみるね」と言ってくれた。

 2015年の1月ごろ、「WHO、インフルエンザはワクチンで予防不可と結論 病院は巨額利益、接種しても感染多数」と題して某出版社が運営するビジネスサイトに掲載された記事が話題になった(現在は「追加取材中につき一時的に非公開」として本文が閲覧できなくなっている)。

 インフルエンザワクチン接種の目的を無視して「ワクチンでは感染が防げない」と述べ、ついでに季節性インフルエンザと高病原性鳥インフルエンザをごちゃ混ぜにした、誤報と言うべき内容だった。さらに「WHOもインフルエンザワクチンでは感染を防げないし有効とするデータもないと言っている」という「都内内科開業医」のコメントも掲載されていた。筆者の周囲には医療者をはじめ医療リテラシーの高い人が多いため、この報道に対し「とんでもない誤り」と反応する人が多かった。