「スマホ老眼」の症状を軽減するストレッチ

 老眼と違いスマホ老眼は、水晶体は軟らかい状態なので、適切なケアを施せば治すことが可能です。

 どんなケアが効果的なのでしょうか。「定期的に目を休めて、近くだけではなく遠くを見ることを意識しましょう」と梶田さんは言います。「サプリメントを摂取したり、目を温めたりして血液の流れをよくし、目の筋肉の緊張をほぐすことも有効です」。

 スマホ老眼を放っておくと、症状が悪化することも。「頭痛や肩凝り、めまい、吐き気などを伴うことや、重症になると自律神経に影響を与え、実生活を営めなくなることもあります」と梶田さん。早め早めに、目の筋肉の凝りを解消することを心掛けたいものです。

 目の疲れにお勧めのストレッチを梶田さんに紹介してもらいました。

 「目のピント調節に関わる毛様体筋のストレッチと、目を動かす筋肉である外眼筋のストレッチの2種類があります。毛様体筋のストレッチは、近くから遠くへ目のピントを動かすストレッチです。目の前にかざした人差し指にピントを合わせた後、2~3m先の景色(※ピントがギリギリ合うもの)へ目を動かします。これを繰り返します」と梶田さん。日ごろ目のかすみを抱えている記者が試すと、ピントがなかなか合わず、苦労しました。

 「外眼筋のストレッチは、人差し指を目の前にかざしたまま腕を左右上下に動かし、指先を目で追ってください。さらに、指先で円を描き、目で追ってください。首を動かさず、眼球だけを動かすのがポイントです」。簡単なようで、難しい! ゆっくりでもしっかり指先を目で追っていくと、目の筋肉が凝っているのか、かなり手応えを感じました。

 「これを1回に10セット、毎食後と就寝前の4回ずつ、2~3週間継続します」と梶田さん。慣れてきたら20セットを継続するのがお勧めだそう。「筋肉をほぐしてから就寝するのが有効です」ということなので、寝る前の習慣にしたいですね。

この人に聞きました
梶田雅義
梶田雅義(かじた・まさよし)
梶田眼科院長。福島県立医科大学卒業。同眼科学教室入局。同大眼科学講師、カリフォルニア大学バークレー校研究員を経て2003年現医院を開設。現在は、日本コンタクトレンズ学会理事、日本眼光学学会理事、日本眼鏡学会評議員を務める。眼精疲労に詳しい。

文/鈴木陽子 イメージ写真/清水知恵子、PIXTA