たったの0.5%なんて相手にしなくていい

 今回最終回となるこの連載は、本当は高い能力を持っているのに発信に苦手意識を持っているためにうまく気持ちを伝えられない人に「しなやか発信力」を身に付けていただきたいと、2016年2月にスタートしました。この連載で定義する「しなやか発信力」とは、あなたが本当に実現したい未来のために、変な遠慮や見栄などを取り払い、躊躇なく発信し、誤解なく周囲に届ける力のことでした。

 「ネット炎上の研究」(田中辰雄、山口真一著 勁草書房)によると、「ネット炎上」参加者はネット利用者の0.5%だったそうです。私も講演や執筆など、発信を多くする立場で慣れていると思われがちですが、発信に怖さがあるのは皆さんと一緒です。たった一言の「池田千恵はバカだったのか」というツイッターでの誰かのつぶやきに1週間以上クヨクヨしたり、講演後のアンケートで、100人が良かった、と言ってくれたとしても、たった一人のネガティブ意見に心がずんと重くなったりすることは今もあります。でも、「たったの0.5%」に引きずられていたのだ、と心を切り替えると、なーんだ、そんな人たちに関わっているなんてバカらしい、と思います。

 伝えたい、こうしたい、という思いを躊躇する必要なんてありません。「よくぞ言ってくれた!」「私も同じことを思っていた」「一緒に望む未来をつくっていこう!」という人と付き合ったほうが絶対に人生楽しいはずです。

フットワークは軽いほうが深く傷つかない

フットワーク軽く物事に取り組むことのメリットとは (C) PIXTA
フットワーク軽く物事に取り組むことのメリットとは (C) PIXTA

 発信について難しく考え過ぎないことも大切です。先日、彼氏が欲しいけど行動ができないと悩んでいる知人に伝えたのは「考えて戦略を練り過ぎて何もしなかったり、行動が遅くなるよりも、まずは周囲に彼氏が欲しいと伝えて行動したほうが、深く傷つかないで済む」という話でした。

 慎重派で堅実な人ほど、「彼氏が欲しいけれど、自分がどんな人がタイプなのかもハッキリしない……まずは自己分析をしてみよう」などと考え過ぎて決断が遅くなってしまったり、先回りして1周回って何もしなかったりします。その間に「まずは自分のタイプが分からないからいろんな人と出会える場に行ってみよう」という人のほうが、実践を重ねてかえって早く理想の彼氏ができることも多いのです。また、さまざまなタイプの男性に気軽に会うことによって「私はこういう人が好きなんだ」というタイプも見えてくるし、好意を持った相手に仮に興味を持ってもらえないとしても、深入りする前なので「次に行こう!」と切り替えることができます。

 でも、あなたが思慮に思慮を重ねて、じっくりと理想の彼氏とはどんな人かを考え、「この人しかいない!」という人にアプローチしようと決めたとしましょう。アプローチの手順までもじっくりと考えて選んだ行動や発信が受け入れられなかったとしたら、どうでしょうか。さらに自分の発信に自信がなくなるというネガティブスパイラルにはまってしまうのが目に見えています。