1.自分の「ふと思った」感覚を信じる

 気を利かせたつもりが一周回って意味が分からない行動をしてしまうこと、実は私にはよくあることです。(後で、しまった、と反省します)

 例えば取引先との会食の席で向かいの席の人のビールが空になりそうなとき、つぐかどうかの判断に時間がかかり、結局つがないという判断をしたけれど、実はさっとついだほうが印象がよかった、という場合があります。

「ぬるいビールが半分残っているところに冷えたビールをついでしまったら、ビールにこだわりがある人ならおいしくないから嫌かもしれない」

「最近は乾杯だけ付き合いでビールを飲む人が多いから、お代わりをつぐことはかえって迷惑かもしれない」

「そもそも女性だからってビールをつぐ役目をするのって、こびてるみたいで今どきおかしいんじゃないか?」

 など、さまざまな思いを巡らせているうちに、隣の人がスマートにビールをつぎ始める姿を見て「ついだほうがいい、とそのとき思ったなら、あれこれ考えずについでしまえばよかった」と後悔することも。

 この話は冒頭のメールの話と一見関係ないように見えるかもしれませんが、大いにつながっています。というのも、分かりにくいメールを書く人は、最初にふと感じた自分の素直な気持ちを疑ってかかっているからです。

 ふと感じた感覚を、「いやいや、これじゃあ相手には伝わらない」と打ち消して、あれこれこねまわした結果、かえって意味不明な表現になってしまうことが多いのです。

2.漢字が多い表現をひらがなに変える

ふと思ったことを、そのまま質問すればいい (C) PIXTA
ふと思ったことを、そのまま質問すればいい (C) PIXTA

 苦手意識を持つからこそ、それを克服すべくあれこれと考えてしまう気持ちは分かるのですが、実は「ふと思った気持ち」を大切にして、そのまま質問すれば済む話も多いのです

 頭の中にふとでてきた言葉が「受講者負担」「主催者受領」「講師直接受領」など、話し言葉で使わない表現ということはありえません。シンプルに「テキストが欲しい」「でもこちらでは事情があって買えない」「だからお手数ですが池田さんのほうで買って送ってほしい」と書けば、それでOKです。つい漢字で書いてしまった表現を、ひらがなにするだけでもだいぶ分かりやすさは変わってきます。

 ちなみに、もしメールを送った相手から「このメールは、こういう理解でいいですか?」という質問のメールが返ってきたら、「あなたは分かりにくいメールを送りましたよ」のサインですので、発信力を鍛えるきっかけとしてみてください。