目線が変わると、質問も変わる

 講演の仕事をしていない人でも、何か依頼をされた時は、その依頼によって、相手はどういう未来を期待しているかを立ち止まって考えてから仕事をすると、一歩先、二歩先を見た提案や質問ができるようになります。

 例えば、あなたが企業の広報担当で、当面の仕事は来年の新卒採用のための会社案内パンフレットを作ることだとしましょう。ある日の朝、上司から突然「今日○時から開催の新卒採用セミナーにあなたも出て、セミナーの写真を撮っておいて」と言われたとき、「はいわかりました」と答えて自分なりの工夫で写真を撮る前に、「その写真は何に使うものですか?」と質問ができるか、できないかは、先を見ているか見ていないかの分かれ道です。

 なぜなら、上司の最初の依頼だけでは、上司が期待する写真がどんなものなのかが分からないからです。

●セミナー講師が堂々と話しているカットが欲しいのか

●セミナー自体に人がたくさん入っていて、盛況である様子が欲しいのか

●はたまた、単なる社内の議事録として開催したことが分かるもので良いのか

など、「写真を撮っておいて」だけでは、後工程で何をするかの細かい状況が分からないので、指示をもらった時点で確認する必要があるのです。

 また、パンフレットに使う写真とホームページに載せる写真では、求められる解像度も違ってきます。こうした細かい状況を確認せずにあなたの思い込みで指示を受けてしまうと、何か間違えた時にリカバーするために余計な時間がかかるし、上司の意図からずれた仕事をした、ということであなたの評価も下がってしまいます。ちょっとしたコミュニケーションの行き違いで評価が下がってしまうのはもったいないことですよね。