相手にメリットがある伝え方を考える

 私が会社員のときの話です。私はコンサルティング会社の資料作成の専門部署に在籍していました。この部門は作家と編集者の関係と似ていて、作家であるコンサルタントから原稿が出てこないと、私の仕事はいつまでたっても進みません。かといって「早くしてください」とせっついても早く出るわけでもないので、待ち時間がひたすら長い残業になることもありました。

 これはまさしく「仕方のない」ことではありましたが、私は自分の早起きの得意技で残業をなるべくしない工夫をしていました。先方のコンサルタントには「私は朝に強いので、どうぞゆっくり、おしりの時間を気にしないで心ゆくまで作業してください。私はもう退社しますが、その代わり、いつもより早く出社して資料は間に合わせますからお任せください」と伝えたのです。

 早朝出社にも残業手当が出る会社だからできた技ではありますが、私はさっさと帰ることもでき、先方は時間を気にせずじっくりと資料を作ることができ、お互いにハッピーでした。

 ポイントは、相手のメリットと自分のメリットをどうつなげて、相手にそのほうが得だと思ってもらうかということです。

 ここで私が「早く帰りたいので、早く原稿をください」と言っていたら、ただの感じが悪いヤツで、自分の都合しか考えていないように思われてしまいますよね。あなたの仕事でも、同じようなことはできないかを考えてみてください。