夫に「気が利かない」と思われているという思い込みに苦しむ

 今まで経験したことがない育児と向き合う中で、自分の家事能力が極端に低いと思うようになりました。母親なら当然できるであろう、先回りの配慮ができなかったり、寝かしつけがうまくできなかったり、掃除がうまく行き届かなかったりすることに悩んでいました。

 幸いなことに夫のほうが私よりもはるかに家事能力が高く、喜んで家事をしてくれるため問題なく日常は回ります。夫も自分が家事をするのが当然のように受け止めてくれます。これを言うと周囲には「羨ましい」と言われるのでぜいたくだと思われるかもしれませんが、実は私自身は良かったと素直に喜べず、「普通のお母さんみたいに気が利かない私には、人間としての能力が大きく欠けているのではないか?」「夫は実は表面には出さないけれど私のことを“気が利かない”と思ってイライラしているのではないか?」とまで思い込み、真剣に悩んでいたのです。

 子どもが生まれたことにより、今まで克服してきたと思っていた、小さい頃親に言われた「気が利かない」が、事あるごとに現れてグサグサと心をえぐる感覚を日々味わいました。「“気が利かない”で苦しむのは親のせいだ!」とやり場のない怒りが出てくることも増えてしまいました。