2.後出しジャンケンをしない

 実はこの話には後日談があります。依頼を受けた彼女は、スケジュールが合う限りなるべく仕事は断らないという方針を持っていました。また、広く講座を展開している大手企業なので信用できると思い、依頼のメールには少し違和感がありながらも60分の短い講演ということで受けることにしました。

 しかしその後あろうことか、当初60分と聞いていたのに本当は90分の講義だということが、募集チラシが完成して判明しました。60分だったらこの講演料でもまあよいか、という気持ちで受けてしまったこの仕事。担当者から「申し訳ありません、60分は私の間違いでした」と一通お詫びのメールがきたのみでした…。

 さらに、講義を引き受けた後に

●講演タイトル、テーマを自分で考えてください
●募集告知文もお願いします

と、本来その会社がすべき仕事も全部丸投げされたそうです。最初にこのような工数がかかると知っていたらそもそも仕事は受けませんでした。怒りを抑えながらも、すでに募集は開始していてお客様に罪はないのでそのまま引き受けましたが、もう二度とこの会社と取引はすまい、と固く心に誓ったそうです。

 このように、一担当者の意図せざる地雷メールのために、会社全体の信用に二度と消えない傷がつくことがあります。しかも悪い噂ほど早く周囲に広がります。自分が会社を代表しているという意識をもっていれば、これがいかに怖いことか分かるでしょう。