1.自分の思惑と相手のメリットに「かけはし」をかける

 前ページのメールは、自分の都合ばかりを一方的に伝えて、相手の状況についてお構いなしという印象を受けました。もちろんホンネとしては、「影響力のある○○さんに講演してもらって弊社を知ってもらいたい」と思っていても良いのですが、お願いされる身になってみれば、「なんで私が忙しい中わざわざ、お世話になっている訳でもないあなたの会社の知名度アップをしないといけないの?」となります。ボランティアではなくビジネスである以上、哀れみを誘って助けて欲しい、では相手は協力してくれません。

 前回の記事「自己紹介をプレゼンのプロが伝授 地雷を踏まない方法」でも「謙遜」と「言い訳」をごっちゃにしないという話をしましたが、言い訳満載の依頼メールを相手が受け入れてくれることはまずないのです。

 自分の思惑をそのまま伝えるのではなく、相手のメリットと繋げてお願いできないかを考えてみましょう。これを私は「かけはしをかける」と言っています。

 例えば、ここの会社は集客には苦労しているとのことですが、バラエティ豊かな講師陣を揃えて、幅広いテーマで講演を行っている会社だそうなので、次のような伝え方もできるかもしれません。

「弊社では、今まで○○さんが対象とされている若手ビジネスパーソンのほか、主婦や学生に向けても幅広いテーマで講義していただいています。今後○○さんが手がけるテーマは、弊社の経験から、主婦や学生に向けて幅広く共感できるものだと思うので、ぜひ講演をお願いできないでしょうか」