ポイント1
「I」が多すぎるとウザイ人に。「You」と「I」の比率は9:1

 話を聞いてもらえない、協力してもらえないと悩む人は、話し方で損をしていることが多いのです。実は、みんなが興味を持っているのは、あなたではなく「自分自身」。会話をしたりプレゼンを聞いたりしているとき、相手はあなたの話に、次のような「?」を頭に置きながら聞いていると思って間違いありません。

「で、それって私(自社、自分の部署)に何のメリットがあるの?」

 その疑問に答えるために、あなたの主張を、相手のメリットに絡めて伝えるように意識することが大切です。つまり、「私がどれだけ頑張ったか」ではなく「あなたにどれだけ役立つか」という文脈に表現を変えていくようにしましょう。比率で言うなら、「I」は1割、「You」は9割くらいでちょうどいいバランスになると覚えておきましょう。

 自分が書いた文章や資料を見直してみて「こういう結果になると“自分が”困る」「この提案が通らないと“自分に”不利益がでる」「相手の考えは間違っていて“自分が”正しいから、論破しなければならない」という表現が多いかもしれない、と感じたときは、「自分が」を「相手が」に変えてどう表現できるかを考えてみましょう。

 例えば、あなたがもし営業担当なら「苦節何十年の渾身のプロジェクトです」「この準備のために●億円投下しました」というように、自分(自社)が投下した時間や金額を話すことにいくら時間をかけたとしても相手に響くことはありません。何時間資源を投入したかは、相手にとってはどうでもいい話。自分の思い入れが強いと、つい、自分や自社がどれだけ頑張ったかに焦点をあててしまいがちですが、会社で決裁権を持つ人は、間違いなく会社の利益に敏感です。同じ内容でも「弊社ではこんなに手間暇をかけてコスト削減に注力しました」よりは「少ない時間で、これだけの効果があり、御社の時間がこんなに増えます」と伝えたほうが良い場合のほうが多いのです。