リハーサルは朝にするのがおすすめ

 また、プレゼンのリハーサルは急な仕事対応などが入らず、ゆっくり落ち着いて時間を使える「朝」時間を活用することをおすすめします。メリットは3つあります。

1.電話などの邪魔が入りにくい

2.資料を一晩寝かせるので客観的に見直せる

3.「朝リハしよう」と思うと、逆算して段取りを組める

 もちろん忙しいスケジュールの中、直前まで資料を練り直して朝のリハーサルに間に合わないということもありますが、朝リハをすると自分にアポを入れ、逆算で段取りを組むよう努力をしています。

分かりやすい内容か、家族に聞いてもらい判断する

 話が分かりやすい、話がうまいと言われる人は、難しい言葉や専門用語、略語を使わずに小学生にもわかるような表現で難しい話や深い話をします。自分の話を、まるで自分の話ではないように客観視することが自然とできているからです。

 しかし私たちは、特に人前で話したり文章を発信したりといった特別な場面においては、緊張や気分の高まりもあり、自分が使っている言葉が分かりやすいかどうかの視点が抜け落ちる傾向があります。また仕事で普通に使っていて自分にとってなじみがある言葉を、対外的にもつい使ってしまい、話を分かりにくくしている場合も少なくありません。

 例えば私の場合、新卒で入社したのが外食企業だったため、外食に関わる人なら当然知っている「QSC」という言葉は一般の人も普通に知っているものだと思い込んでいました。ちなみにQSCとは、Q(クオリティ=商品の品質)、S(サービス)、C(クレンリネス=清潔さ)の頭文字を取った言葉で、外食ビジネスの根幹をなす重要な3要素。

 外資系コンサルティング会社時代は、日本語で言えば済むところをわざわざ英語混じりで使ってしまい、なんとなく嫌みのような表現になってしまったり、「プルーフする=原稿の整合性を見直す」「アンドをとる(スケジュールの調整をする)」という言葉も、一般的な用語ではないのについ使ってしまって「何それ?」と言われたりしたこともありました。

 これらの言葉遣いは、「共通言語、同じ価値観の集団に慣れすぎていると違和感に気付かないものです。たとえ社内会議のプレゼンテーションだとしても、その内容がいつ社外で説明が必要になるか分かりません。相手にとって意味が分からない言葉のせいで、あなた自身が誤解されないためにも、守秘義務などの問題がない範囲で家族などにプレゼンの内容を聞いてもらうことをおすすめします。また、文章の場合は可能な限り一晩寝かせ、次の日の朝に見直して、一歩引いた視点を意識すると独りよがりな表現はだいぶ減ります。

 このように、社内の人にも分かりやすく表現をする訓練をしておくと、あとでブログやSNSで発信をするようになったときも、自分の文章を分かりやすさの視点から客観的に見る練習にもなるはずです。

 何事もいきなりぶっつけ本番でなく、リハーサルを。そうすることで心に余裕が生まれますよ。ぜひ、お試しください。

【修正履歴】タイトルを変更しました。(2016年3月25日)

文/池田千恵、写真/PIXTA

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