「ヒラリー、オバマ、学長の言葉に希望を感じられない」
マレーシア人女性の友人はこう語った。
「困難な状況で、人はリーダーを探す。どう考えて、何をすればいいのかと。理解できない状況を、理解できるようにして欲しいの。選挙を経てヒラリー、オバマ大統領、そしてエルメンドルフ学長のスピーチを聞いたが、希望を感じられなかった。
希望を与えるはずの言葉だったが、彼ら自身の未来への恐怖が見え隠れしていた。頼れるはずの人たちの恐怖を感じ取ることほど、恐ろしいことはない」
これほど悲しみに溢れた日が、国民の半数にとっては、トランプ大統領を喜んで祝福する日だった。対極の世界が同時に存在していることが、今のアメリカの現実だ。
日本では、TPPや日米同盟など、外交への懸念が多く報じられている。日本人として、直接影響を受けるだろう政策のため、当然だ。でも、今アメリカで起きていることの深刻さ、支持された価値観や考えがアメリカや世界にどういう影響を及ぼすか、日本人としても考えなければいけない。
この選挙はアメリカがいかに分断されているかを明らかにした。エリート支配層への怒り、自分と違う人種や性別の国民に仕事や社会的な力を奪われる恐怖感、自分たちが恩恵を受けない経済…。今までと明らかに異なる過激なリーダーに賭けてみようという力が、世界の大方の予想を覆した。
アメリカは今、ショック状態だ。
文・写真/大倉瑶子
◆変更履歴:公開内容を一部変更しました。(2016年11月10日)