共働きだけど、食器を下げない父に思うこと

 「特に父は、中国で育った価値観や考え方が強く残っているの。わが家では両親とも働いているけど、例えば父は自宅で食事を終えると、食器をそのままテーブルに残して立ち上がる。自ら進んで食事の片付けをするという感覚はないの。私はそれがすごく嫌でいつも父に言うの。“高校生の弟が見ているからやめて”と。父は、弟に対していつも“男性は家庭を支えるんだ”と強調していて、どこか亭主関白なところがある。こういった家庭の中の日常的な言動が、その人の家族観や男女の関係像を構築すると思う

 レイチェルも、日本の女性の社会進出についてよく新聞やニュースで見るが、女性のサポートへの理解がなかなか生まれないことは、少し理解できると言う。

 「女性=家庭という社会観の中で育ったら、男女ともに誰だってそうあるべきだと、自然に受け入れる気がする。明らかな差別でなくても、洗濯や料理を母親が当然のようにこなしている中、父親がテレビを見ている環境で育ったら、女性の役割が無意識に植えつけられる。

レイチェルと両親
レイチェルと両親

 これは日本だけでなく、アメリカでも同じ。やっぱり家族の価値観は自分の育った環境がつくるもの。特に自分の母親が働いていて、父親が家事分担などサポートしていた環境で育った男性が増えないと、女性がキャリアを築くことに対する男性側からの理解とサポートは、なかなか難しいのかもしれない」

 確かに女性の社会進出は、特に家庭とのバランスを考えると、男性のサポートが不可欠だ。女性だけの問題ではなく、男性ないし社会の問題として、どう取り組むべきか、若い世代がもっとオープンに話し合える場が必要なのかもしれない。

文/大倉瑤子

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