「男性の家庭進出」を促進するためには?

 トビアスは、家庭を選ぶことに対する社会的・経済的地位が認識されるべきだと主張する。「僕自身、キャリアと家庭を選べと言われたら、家庭を大切にしたいという気持ちが今は強い。ただし、男女問わず、今の時代は、家庭を優先する価値観に対して社会は決して寛容ではない」と言う。

 例えばドイツでは、政府や大企業は男性の育児休暇取得を奨励しているが、社会の価値観は未だにそれを受け入れない風土が根強く、推進はなかなか難しいという。トビアスは「男性の家庭進出」を促進するためには、女性の社会進出を強調するあまりに置き去りにされつつある「家庭の重要性」を改めて認識するべきだと話す。

男女ともに働く家庭で育ったトビアス。祖父母の結婚70年をお祝いして集まったトビアスの親族たち
男女ともに働く家庭で育ったトビアス。祖父母の結婚70年をお祝いして集まったトビアスの親族たち

理想は、男女ともに選択の自由が実現されていること

 彼にとって、男女平等は「Freedom of Choice」、選択の自由が実現されている状態だ。男女共に働きたい人が好きなように働き、家庭を優先したい人は偏見を受けずに生きられることが理想だという。

 特にキャリアが注目されるがあまり、その反動として、20代前半の友人の間では、男女平等の価値観として選択の自由を強調する人が増えているというのだ。

 私も日本の友人のことを考えてみると、似たような環境で育っていてもそれぞれ家庭と仕事への価値観が異なると感じる。どれが正しいか幸せか、そう選択せざるを得ない状況も含めて、結局本人にしか決められない。

 ただ男女を問わず、その選択が社会の価値観に左右されずに自由に決められるという事も、男女平等を図る一つの目安だと、今回のインタビューを通して感じた。