女性の働き方や家庭の役割についての価値観を4つに分けると……

1.Traditionalism:男女は職場でも家庭でも別々の役割がある 23%
2.Work Egalitarian:男女共に仕事をするべき 29%
3.Dual-Responsibility:女性は仕事をするべきだが、家族や子どもも必要 30%
4.Flexible Egalitarian:女性は自由にどのような生き方も選べるべき 18%

 1990年には、1.Traditionalism:男女は職場でも家庭でも別々の役割がある が40%を占めていたのに対して、現在ドイツ、スペイン、デンマークでは、2.Work Egalitarian:男女共に仕事をするべき が大多数になった。一方で、ハンガリーやポーランドでは、3.Dual-Responsibility:女性は仕事をするべきだが、家族や子どもも必要 が多くみられるという。

 給料格差など職場における男女格差が減少し、男尊女卑の価値観が消えつつある一方で、「男女は本質的に異なる」という価値観も顕著になっていると教授は指摘する。つまり、男女は平等だけれど、そもそも異なるという考えだ。

(C)Women and Public Policy Program
(C)Women and Public Policy Program

日本は「女性は仕事をするべきだが、家族や子どもも必要」という価値観が他国の約2倍

 私は日本の友人たちと話をするとき、まさにこの3.Dual-Responsibility:女性は仕事をするべきだが、家族や子どもも必要 を自然と理想にしていることが多い。

 仕事で成功するのも大事だけれど、家庭も子どももいないと、特に同性から認められないと感じることが多い。講演会の意見交換の際、このことを教授に話すと、やはり彼女の調査でも、日本では、3.Dual-Responsibility(女性は仕事をするべきだが、家族や子どもも必要)に分類される人がヨーロッパ諸国の約2倍いるという。

(C) PIXTA
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 男女は仕事でも家庭でも平等であるべきと考える人もいる。仕事上は平等であるべきだが、それでも、女性の役割=家庭&子育て、という価値観を持つ人もいる。男女平等を実現するためには、社会に根付いている「ジェンダーロール」を変える必要があるのだろうか。そもそも、何をもって平等といえるのか。どういう平等を目指すのか。男女平等のカタチについて改めて考えさせられた講演会だった。私は早速、この研究結果が、同級生のドイツ人男性トビアスの価値観や社会観に当てはまるか、聞いてみることにした。(次回に続く)

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