2017年1月22日。冬休みを終えて、ハーバードでの最後の学期を過ごすために、再びボストンのローガン国際空港に到着した。入国審査の長蛇の列で待つ中、テレビ画面から「アメリカへようこそ」と呼びかけるオバマ前大統領の姿がないことに、ふと気づいた。

 連日の報道はフォローしていたものの、新大統領の誕生を初めて体感した瞬間だった。しかし、このときには、1週間もたたないうちに新たな大統領令が発表され、入国規制が始まるとは思っていなかった。

 1月27日にトランプ大統領が署名した大統領令は、シリア難民の受け入れを停止したうえ、シリア、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの7カ国の人々の入国を90日間停止した。

 さらに、ハーバード大学からも、当該7カ国の学生や研究者は永住権や有効なビザを持っていても、アメリカ国外に出た場合、再び入国できなくなる可能性が極めて高いと、注意喚起のメールが届いた。