連載8回目の今回は、上司をマネジメントする「ボスマネジメント」の最終章。自分がいくらほめても一向にほめ返してくれない上司には、思い切って「ほめリクエスト」をしちゃいましょう。ビジネスコーチの谷益美さんが、上司にほめてもらうためのさりげない会話術を伝授。後半では、部下育成のための心構えや、改善点を上手に伝えるテクニックもお教えします。
「ほめリクエスト」で長所に目を向けてもらおう
連載5回目から7回目までは、ボスマネジメントの一環として、「上司に感謝やねぎらいの言葉をかけること」や、「相手のポジティブな面に目を向けること」「意見が違う人の話も聞くこと」などの大切さをお伝えしてきました。
第5回 上司をマネジメント 気持ちよく動かす「ほめ方」とは
第6回 キライな人をつくらない方法 こちらから○○するだけ
第7回 上司をうまくマネジメント 最も重要なのは「聞き方」
これらの方法を試してみて、上司とよりよい関係が築けるようになった人や、相手とのコミュニケーションの取り方が、少しずつ変わってきた人も多いのではないでしょうか。
しかし一方で、「上司からはポジティブな反応が返ってこない」「こちらがほめても、ほめ返してくれない」という新たな悩みを持たれた方もいると思います。
そんな場合には、思い切ってこちらから、ほめてもらえるように「リクエスト」をしてみませんか?
リクエストとは言っても、上司に直球で「ほめてください」と要求するのではありません。自分の仕事や自分自身の長所に目を向けてもらえるように、普段の会話の中でさりげなくアピールするのです。
リクエストの方法をいくつかピックアップしてみたので、まずは下記を参考にしてみてください。
【ほめリクエスト参考例】
◆企画書を提出するときには
「さらにブラッシュアップしたいので、改善点と一緒に、ここはよかったという点も教えていただけると助かります」
◆頼まれていた資料を提出するときには
「今後に生かしたいので、もっとこうしてほしいという要望や、○○さんの役に立ったところを教えていただけるとありがたいです」
◆営業の進め方を相談するときには
「来月の目標を達成するために、見直したほうがいい点や、自信を持って伸ばしていけばいい点をアドバイスいただけるとうれしいです」
ポイントは、今後の仕事や自己成長のために、改善点だけでなく「よかった点」も知りたいということを、相手にしっかりと伝えることです。
心の中で思っているだけでは、相手には伝わりません。待っていても、上司の態度が明日から劇的に変わることはないでしょう。だったら、まずは自分から上司に働きかけて、「いいところ」に目を向けてもらえるようにアピールしてみましょう。
一向にほめてくれない相手には、「なぜ間違いや悪いところだけを指摘するんだろう」「頑張りを認めてもらえないのかな」と、複雑な気持ちになるかもしれません。しかし、だからこそ一度冷静になり、「じゃあ自分は、どういう対応をしてほしいんだろう?」と、考えてみてください。その上で、「やっぱり悪い点だけでなく、長所も見てほしい」「頑張ったことに対しては、一声掛けてほしい」と思うのであれば、自らが一歩踏み出して今の状況を改善する、アクションを起こしてほしいのです。
ほめてくれない相手にガッカリし続けるのは、自分にとっても心理的な負担が大きいはずです。ですから、自分を少しでもラクにしてあげるためにも、ぜひ「ほめリクエスト」を試してほしいと思います。