時には、上司を止めるストッパー役も

 いつも上司の傍らでサポート役として業務に携わっている秘書さんだからこそできる役回りもあります。上司が思わぬ方向へ行ってしまいそうなときなどのストッパーです。秘書さんたちは上司から受けた言葉をいったん飲み込んで反応を返すこともあり、ここにピックアップしたベテラン秘書さんたちの回答を眺めてみると、秘書さんがいかに会社組織の裏舞台で努力をしているかがよく分かります。

「丁寧・丁重な秘書」はどこにでもいますので、私はあえて「ぶっちゃけキャラ」でいっています。そのため、こちらが考えていることを率直に伝えることができます。ボスが変な方向に行きそうになったときに、軌道修正させるのも秘書の仕事だと思っています。(40代女性、秘書歴13年、電気・ガス、常務取締役・取締役を担当)

他の社員の悪口は言わないと決めています。たとえ上司が社員の悪いところを言っても、「変わった方ではありますね」とさらりと返すようにしています。月並みではありますが、つまらない冗談が上司から飛び出したときは、思い切り笑い返すようにしています。(40代女性、秘書歴12年、コンサルタント・会計・法律関係)

言われたそばから即座に否定しないこと。言われたことに対し、「でも」「ですが」「しかし」などとは返しません。どんな無茶なことでも、相手が間違っていても、いったんは「承知しました」「かしこまりました」と受け、いったん下がってから、「先ほどの件ですが、確認しましたところ……」などと理由を付けながら返します。(40代女性、秘書歴10年、放送・広告・出版・マスコミ、社長を担当)

上司が達成したい目標・目的を理解して、それをサポートできるように行動するようにします。また、上司の部下同士の関係が円滑にいくように橋渡しもします。(40代女性、秘書歴10年、製造業、本部長クラス・事業部長を担当)

疑問点があったときは即座ではなく、折を見て話すようにします。要求される前にデータを準備するなど、少し先を考えて行動できるように、日常の会話内容に気を配ります。(60代女性、秘書歴17年、製造、常務取締役を担当)

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 いかがでしたか。秘書さんたちがいかに上司の心をつかむか、日々考えながら業務に携わっていることがアンケート結果に反映されていました。皆さんが上司とコミュニケーションを取る際のヒントにお役立てください。

文/日経ウーマンオンライン編集部 写真/PIXTA