ベテラン秘書さんから学ぶ意思疎通スキル

 多くの上司と時を共にしてきたベテラン秘書さんはどのようなコミュニケーションのノウハウを持っているのでしょうか。

 年配の上司と一口に言っても、さまざま。上司のパーソナリティーを研究し、接し方をTPOに応じて臨機応変に変えている人が多くいました。豊富な経験から生み出された意思疎通ルールを紹介します。

その方の性格に合わせることが大切です。せっかちな性格の方なら端的に余計なことは話さず、お話し好きな方なら話題を提供するなどしています。(40代女性、秘書歴13年、コンサルタント・会計・法律関係、社長・副社長を担当)

これまで5人以上のさまざまな国籍の上司についてきましたが、「前の方はこうだったから、たぶんこの方もこうだろう」などと決め付けをしないことが大切かと思います。常に上司の心の動きに敏感でいるように心掛けています。(50代女性、秘書歴12年、情報通信・IT、常務取締役を担当)

相手の性格を細かく理解し、人によって対応を変えるようにしています。フレンドリーな距離感を望む方もいれば、一定の距離を置く方もいらっしゃいます。できるだけこちらも柔軟な対応を心掛けます。(50代女性、秘書歴15年、医療・社会保険・福祉、社長・本部長クラスを担当)

柔軟な対応を心掛けます (C)PIXTA
柔軟な対応を心掛けます (C)PIXTA

女性社長の秘書をやっていたときは、相手に感性の一致を感じていただけるような共通の話題を出すように心掛けていました。女性同士なのでフランクになり過ぎないよう、あえてかしこまった対応に徹していました。(40代女性、秘書歴14年、製造、会長を担当)

常に相手の状況を見て話をするようにしており、機嫌が悪いときは話し掛けないようにします。また、悪い話をするときは「いいお話ではないのですが……」、困った話は「お伝えしにくいことですが……」と、それぞれ前置きします。(40歳女性、秘書歴20年以上、社長を担当)

外国人もしくは外国生活の長かったタイプの方に何かの判断を仰ぐ際には、いくつかの選択肢を提案するようにしています。逆に年長者にはなるべく控えめな態度で、ご希望をお聞きします。(40代女性、秘書歴19年、製造、社長・取締役・本部長クラス、事業部長を担当)