上司との距離を縮める秘書のマル秘テクニック

――自分と年齢が離れた男性上司が考えていることがつかみにくいという悩みは、多くの働く女性の中にあると思います。距離を縮めるコツはありますか?

添畑 たとえ苦手な人でもそれを顔に出さず、明るく挨拶するといった、ちょっとした日々のコミュニケーションが大事だと思います。笑顔で、おはようございます、お疲れさま、ありがとうございます――といった言葉を必ず伝えるようにしています。また、その人が何が好きかといった情報を周りから聞いて、話し掛けるよう努力しています。

竹内 想像力を働かせるのが難しい場合は、相手の「欠点」を探すという手法も採ります。人は自分が困っていること、苦手なことをサポートしてあげると、「とても助けられた」という気持ちになるからです。フォローできるところから少しずつ仕事を広げていって信頼関係を築いていくのです。

 自分が得意であることでサポートするのも一つの方法です。笑顔がかわいい人だったら、毎日笑顔でいるだけでもいいんです。得意な笑顔で上司を和ませる。ベテランになると笑顔じゃ許されませんけど、新人で一生懸命だったら、その頑張りを認めてくれると思います。

伊田 相手のして欲しいことを想像して、自分から先に行動し、それを繰り返すことです。それによって、相手からの信頼を得ることができます。相手の行動を待つのではなく、まずは自分が先に行動することで、コミュニケーションも自然と取れるようになります。自分の感情の中で悩むのではなく、一歩引いた目線で物事を捉え、「相手がどんな補佐を必要としているか」にシンプルに向き合うことが大切ですね。「ずっとこうしてほしかったんだよ」と上司から言われることもありますよ。

島倉 私は、社長だけでなく、副社長やその他の役員に対しても、同じように丁寧に話すように心掛けることで、初めて役員の方々からも相談をしてもらえるようになったと思います。誰にでもきちんとするように頑張っているんだなと、見てもらえるようになりました。

竹内 あえて上司を頼りにいくというのも一つの方法です。頼りにされて嫌だと思う人はいないでしょう。自分でできると思ったことでも、上司との距離がつかめないと思ったときは、「分からないので教えていただけますか」とあえて聞きにいく。それで「本当に助かりました。ありがとうございます」とお礼を言えば、相手との距離を縮めることができます。こうすると、相手も何かあったときに、自分のところに相談に来てくれたりする。お互いが助け合う関係性ができるんです。

――会社社長や役員は忙しいので、上司に聞かず自分の判断で行う必要のある仕事もありそうですが。

伊田 私は基本的に、聞いてはいけないことがあるとは考えていません。ただ、何でも聞けばいいというわけではありません。多忙の上司に一つひとつ判断を仰いでいてはきりがありませんからね。できるだけ重要度を私のレベルで判断し、一歩先を読み、コミュニケーションを進めていきます。聞くタイミングですが、例えば、スケジュールの隙間時間を利用したり、社内の会議室を移動する時間までも利用します。

添畑 聞くタイミングがありますね。雰囲気や表情を見て、「今はダメだな」というタイミングはあって、話し掛けてはいけないオーラが出ている。少し時間をかけて、表情が少し和らいだときに聞きに行こうとか(笑)。

竹内 顔色はすごくうかがいましたね。前がハードスケジュールで疲れているとかため息が多いとかといった様子を見て、今これを確認するタイミングじゃないなとか。でも、よかれと思ってこちらの判断でやったことで怒られたこともあるので、上司と同じベクトルを向いているか、同じ思考を共有できているかということを確信できているかどうかは大切ですね。