この連載では、毎週火曜日に健康・医療専門サイト「日経Gooday」編集部の取材から、元気になる最新のカラダの話をお届けします。

 毎朝の食卓にヨーグルトは欠かせないという家庭も多いことだろう。かつては、デザートやおやつとして親しまれていたが、最近は健康志向の高まりによって利用が増え、2015年度の国内の売上は3900億円に達している。
 中でも特に人気が高まっているのが、特定の健康改善効果をうたった“機能派ヨーグルト”だ。かつては腸内環境を整えたい女性が購入層の中心だったが、最近はメタボリックシンドロームや免疫力の低下などを気にする中高年男性にまで広がっている。そこで、人気の機能派ヨーグルトを効能の観点からまとめた。あなたにぴったりの製品を見つけてほしい。

腸内環境を整えることの大切さが認識され、ヨーグルトの消費が増えてきている(©liza5450-123RF)
腸内環境を整えることの大切さが認識され、ヨーグルトの消費が増えてきている(©liza5450-123RF)

 ヨーグルトは、牛などの乳に乳酸菌や酵母を混ぜ、発酵させて作る。起源はヨーロッパ、アジア、中近東にかけての様々な説があり、およそ7000年前、生乳の入った容器に乳酸菌が偶然入り込んだのが始まりと考えられている。製法には、容器に充填してから発酵させる「後発酵」と、タンク内で発酵させたのちに容器に充填する「前発酵」がある。

 ヨーグルトに期待する健康効果と言えば、まず「整腸作用」が思い浮かぶ。含まれる乳酸菌やビフィズス菌が腸内の善玉菌を増やすことで腸内環境を整え、便秘の予防や解消などに役立つ。最近では、善玉菌が多いか悪玉菌が多いかといった腸内環境の違いが、大腸がん、大腸炎、肥満、糖尿病、動脈硬化、花粉症、食物アレルギーなどの発症にも影響を与えると考えられており、腸内環境の改善に対する関心も高まっている(関連記事「善玉菌、悪玉菌と単純には分けられない!「腸内フローラ」の真実 」)。

腸内細菌の知られざる機能が次々と明らかに

 ヒトの腸内には数千種類、100兆個の腸内細菌が生息している。そして、乳酸菌が作り出す色々な代謝物に機能性がある。最近までは、この腸内細菌の働きを調べるためには、一つ一つの細菌を取り出し培養してから、細胞試験や動物実験を行う方法しかなかった。しかし近年になって、分析機器が飛躍的に進歩し、腸内細菌が作り出す様々な代謝産物の効果を網羅的に解析できるようになり、腸内細菌の知られざる機能が次々と明らかになってきた。こうした背景もあって、特定の健康改善機能が確認された有用菌を含むヨーグルトが増えてきているのだ。

ヨーグルトの菌が持つ機能が多様化し、中高年男性の利用が増えている
ヨーグルトの菌が持つ機能が多様化し、中高年男性の利用が増えている
メーカー各社への取材を基に、各社がヨーグルト製品で採用している菌の位置付けをまとめた