ルール4:寝る前のスマホ、入浴時刻、寝酒に要注意!
では、グッスリ眠るための注意点を挙げていこう。
まずは、パソコンやスマートフォンの使用について。ベッドに持ち込むのはもちろん、寝る2時間前からは一切見ないようにするのが理想的という。パソコンやスマホの画面から出るLEDのブルーライトがメラトニンという眠気を誘うホルモンの分泌を抑えるとともに、交感神経が刺激されて目がさえてしまうからだ。
「逆に朝起きてからパソコンやスマホを使えば、交感神経が刺激されて目が覚める効果もあります」(梶村院長)。
次に入浴は寝る1~2時間前、ぬるめの風呂に入るのがいい。血行が良くなって熱が放出され、深部体温(体の奥の温度)が下がって眠くなる。ただし、熱い風呂は交感神経を刺激して眠気を消してしまう。「やっぱし風呂は熱くねえと!」という江戸っ子気質の人は就寝の2時間以上前に入るようにしよう。
寝酒は快眠を導くと思っている人も多いが、実はそんなことはない。寝付きが良くなる代わりに、「深い睡眠を減らし、夜中に目が覚めやすくなります」と梶村院長は注意する。
ルール5:日光と朝食が体内時計を整える
予定していた起床時間になったら、眠くてもぐずぐずせずにベッドから出ること。その後に、日光を浴びる、顔を洗う、朝食を取る、コーヒーや紅茶などカフェインの入った飲み物を飲む、といった行動をすると交感神経が刺激されて目が覚める。
睡眠リズムを整えるうえで特に有効なのは、光を浴びることと朝食。光が脳にある体内時計(親時計)、朝食が臓器にある体内時計(子時計)をそれぞれ整えてくれる。なお、体内時計を整えるためには、睡眠リズムに加えて、毎日の食事を同じ時間帯に取るようにするのも効果的だ。
要するに、不眠症の治療は睡眠リズムを整えること、すなわち“毎日同じ時間に起きる”ことが基本になる。
「睡眠の質が悪いと感じたら、まずリズムがずれていないか確認しましょう。平日と休日の起床時間に大きな差がないか。ベッドにいる時間が長すぎないか。それらをチェックして、問題が見つからなければ医師に相談するといいでしょう」と梶村院長はアドバイスする。
むさしクリニック 院長
1955年生まれ。睡眠医療認定医。山口大学医学部卒業。同大学附属病院神経精神医学教室、国立精神・神経センター武蔵病院精神科医長などを経て、2003年より現職。杏林大学医学部非常勤講師。専門は精神医学、睡眠医学、時間生物学。著書に『快眠ハンドブック』(PHP研究所)、『「朝がつらい」がなくなる本』(知的生きかた文庫)など。
文/伊藤和弘
日経Gooday「ベッドで本はNG…不眠を解消する5つのルール」を転載
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