この連載では、毎週火曜日に健康・医療専門サイト「日経Gooday」から、元気になる最新のカラダの話をお届けします。今回のテーマは「テアニン」について。お茶の成分といえば「カテキン」が有名ですが、このところ「テアニン」が話題になっているのをご存じでしょうか。テアニンとは一体……? 仕事に欠かせない「〇〇力」も高めるというその成分を紹介します。

玉露やかぶせ茶、抹茶にはテアニンが多く含まれる(©Brent Hofacker 123-rf)
玉露やかぶせ茶、抹茶にはテアニンが多く含まれる(©Brent Hofacker 123-rf)

 お茶の成分といえば「カテキン」が有名だが、このところ「テアニン」が話題になっているのをご存じだろうか。

 テアニンは主にお茶に含まれる旨み成分のアミノ酸だ。テアニンはお茶の木の根で作られ葉に移動する。また、日光に当たるとテアニンは渋み成分のカテキンになることから、カテキンの原料といえる。つまり、日光に当てる時間が短い玉露やかぶせ茶、抹茶などの高級茶にはテアニンが多く、日光に当てる時間が長い普通の煎茶や番茶はカテキンが多くなる。

 ちなみに、各種お茶の湯のみ1杯(80mL)当たり含まれるテアニンの量は、以下の通りだ。

湯のみ1杯(80mL)に含まれるテアニンの量
湯のみ1杯(80mL)に含まれるテアニンの量
太陽化学調べ

テアニンにはリラックス効果がある

 テアニンの機能性に詳しい太陽化学ニュートリション事業部の小関誠さんによると、テアニンを50mgや200mg摂取すると、30分〜1時間後に脳波にα波が出るという研究があるという。α波はリラックスした気分のときに出るため、リラックスしているかどうかのひとつの指標になるそうだ。

 また、テアニンは自律神経系へも働きかけ、緊張やストレスがあるときに働く交感神経を抑制することが分かっているという。

 こういったリラックス効果から派生して、さまざまな健康効果が期待できるといわれている。

 まずは、ストレスの緩和だ。「12人に計算テストなどで故意にストレスを与える実験を行ったところ、テスト前にテアニン200mgを摂取した群は、偽成分をとった群に比べ、心拍数やだ液中のストレスホルモンの指標が有意に低い結果が出ました。心拍数の減少はテアニンが交感神経を抑制する働きによるものと考えられます。また、被験者のアンケートによると、テアニンを飲んだときのほうが、ストレス感が緩和されたという結果が得られました(*1)」(小関さん)。

 また、睡眠の質を改善する効果も期待できる。「22人に就寝前にテアニンを200mg摂取してもらう実験を行ったところ、テアニンを摂取した群は、偽成分をとった群に比べ、起床時に疲労回復感を得られたり、昨夜は長く眠れたと感じたりした度合いが高い結果になりました。2つの群は睡眠時間が同じにもかかわらずこうした結果が得られているので、テアニンの摂取により睡眠の質が上がったと考えられます(*2)」(小関さん)。

 さらに、テアニンはビジネスパーソンに嬉しい働きがある。いい仕事をするのに欠かせない「〇〇力」を高めてくれるというのだ。