「本好きという共通点で話が合いました。毎日何通もメールをくれてデートの誘いをしてくれたので、ランチに出かけたんです。大人の初デートなので2、3000円ぐらいだと思いますよね。でも、彼が案内してくれたのは会社近くの定食屋さんでした。820円の定食でもおいしかったからいいのですが、問題はお会計のやり方です。二人とも1万円札しか持っていないのに、彼はあくまでも割り勘にこだわりました。お店に迷惑なので『私がまとめて払っておくよ』と言ったのですが彼に断られました。『じゃあ、ここはお願いしていい?』と頼んだら『いや、お金はしっかりしたほうがいい』と言い張るんです。結局二人でそれぞれ1万円を出したんですよ。お店の人は苦笑。びっくりしてしまいました」

 それは悪い意味でびっくりですよね。10歳下といえばデートでも割り勘が当然の世代ですが、社会人なのだから臨機応変さやお店への配慮も身につけるべきでしょう。ただし、新たな恋人や男友だちが欲しいと思っている慶子さんは首をかしげながらも、割り勘デートを続けました。

 「10回ぐらいは会ったと思います。手もつないでいなかったのに、あるとき突然にラブホテルに誘われたんです。あまりにもしつこいので根負けして入ろうとしたら、『どの部屋がいい?』と聞いてきました。『どの部屋でもいいよ』と答えたら、『キミも半額を払うんだから選ぶ権利はあるよ』と。その瞬間に頭の中で何かがパンと切れてしまい、『ごめん、気分が乗らない』と帰ってきてしまいました」

 慶子さんはお金を惜しんでいるわけではありません。デートなのになんでも割り勘というのは無粋、だということです。ケンタさんがホテル代をスマートに払ってくれたら、次の食事は慶子さんがご馳走したことでしょう。自分から猛烈に誘ったラブホテル代まで半額を要求するのはおかしいですよね。別れて正解だったと僕は思います。

 ケンタさんはちょっと変な男性なのだとようやく気づいた慶子さん。プライドを傷つけてストーキングされるような面倒なことにならないよう、「僕たちは合わないと思う」とケンタさんのほうから切り出すのをわざわざ待って、別れたそうです。一人暮らしの女性はいろいろ苦労があるのですね。明日は慶子さんと男性観や結婚観について語り合います。