慶子さんには合計で16年間も付き合った婚約者がいました。5歳年上のヨウイチさん(仮名)です。2年前に「お別れ」をしてしまったそうですが、20代前半には結婚するはずだったそうです。

 「健康診断のついでに軽い気持ちでブライダルチェックを受けたところ、彼は子どもが作りにくい体であることがわかりました。彼はそれですごくへこんでしまって結婚自体を先延ばしにすることになってしまったんです。私は子どもが欲しいから結婚するわけではないのに……」

 アメリカで生まれ育った慶子さん。常に周囲が気になり、何事も「世間並み」になりたがる日本の風潮に疑問を感じています。

 「欲しいけれど持てないものは世の中にいっぱいあります。例えば、宝くじ。アメリカだと一等賞は80億円だったりします。80億円ものお金を持った自分を想像できますか? 持っていないものを持ったかのように想像するのは難しいです。逆に、持っていないことの幸せもあると思うんです。結婚せずに子どもがいなくても幸せに暮らしている人はたくさんいます」

 当時、恋人のヨウイチさんも20代でした。どっぷりと日本社会で育った彼には「他人は他人。自分は自分」という価値観を持つのは難しかったのでしょう。結婚は延期になり、慶子さんは大学院で学び直すためにアメリカに渡ったのでした。

 遠距離恋愛になっても、慶子さんとヨウイチさんの絆が切れることはありませんでした。慶子さんが帰国してからは東京で長く同棲をしていた2人。2年前に別れて「友だち」に戻る決断をしたのは、ヨウイチさんが酔って口にした一言がきっかけだったそうです。続きはまた明日。