脱毛症になっても…。

古市:深澤さんは、女オンチだけど、それを含め、なんだかんだ、いろんなことを楽しんで生きてんじゃないかなーって。

深澤:まあ、そういうふうに見ていただければありがたいけど……。

古市:だって例えば記事にある「私がかつらをつけている理由」とかも、本当はもっと悲しい話にもできたのに、なんか楽しそうだし(笑)

深澤:まあたしかに、脱毛症になってハゲて、頭を丸刈りにしたことは、わりと楽でよかったかな(笑)。

古市:それはなんなんですかね? 普通の人が恥ずかしがることを、こうやって気軽に公開できちゃうっていうのは。

深澤:病気で髪が抜けただけだから、恥ずかしくはないと思ってる。あなたは、自分の見かけのことは気にするもんね。

古市:深澤さんよりは気にしてると思います。

深澤:ダイエットにも気を遣ってるし。

古市:太りたくないし、深澤さんみたいに10kg増えてボケーっとかしてないですよ。今サイズがL? XL?

深澤:XL、服によってはXXLとか。だってそのサイズは売ってるから困らない。

(***ここでお菓子が出てくる***)

深澤:お、古市くんの主食のチョコが出てきたよ。

古市:うん(笑)

深澤:本当にチョコしか食べないの? 野菜とか食べないの?

古市:食べ、られる。食べられるけど、家では食べないかな、自炊をしないから。

深澤:せいぜいダイエットのために、コンビニでサラダチキン買うくらいだもんね。

古市:家でスプーンとか使うの面倒なんですよ。だからコンビニ行っても、カップアイスはあんまり買わないかな。

深澤:スプーン使わないっていうレベルか(笑)。あなたには「ちゃんとしよう」っていう欲望に欠けてるところがあるよなあ。

古市:ああ。ちゃんとしようとはしてない……だから、省エネですよね。

深澤:無駄なことがしたくないのかな。

古市:したくない。だから、世間からみて「このくらいならいいかなー」っていうギリギリの線を維持して、できるだけ労力なく生きていたい。

深澤:無駄な労力を省きたいのは、すごくよくわかる。だから私の場合は、女オンチなんだけど。女のオキテを守ろうとしたら、無駄な労力ばっかりかかるし(笑)

古市:そう無駄な労力は使いたくない。

日経ウーマンオンラインで人気を博した連載「女オンチ人生」が1冊の本になります!

 「女オンチ」とは、著者本人が自分のために作った言葉。生まれながらにして「女らしさ」というものが分からず、美魔女信仰が甚だしい現代の世の 女性たちとはズレた感覚の自分を、楽しく綴っている。化粧もしないで結婚式に出る、占いが嫌い、更年期障害や老眼を悲観するどころか楽しむ…かといって、女を武器にすることを否定をするわけでもなく…。

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 新たに、社会学者の古市憲寿氏との「女オンチ×男オンチ」のスペシャル対談を掲載!「人間オンチ」な2人の軽妙なやり取りにも癒される!?『女オンチ。-女なのに女の掟がわからない』(670円+税/祥伝社黄金文庫/2016年2月11日(木)発売)
Profile
古市憲寿(ふるいちのりとし)
1985年東京都生まれ。社会学者。若者の生態を的確に描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)などで注目される。 日本学術振興会「育志賞」受賞。著書に日本社会の様々な「ズレ」について考察した『だから日本はズレている』(新潮新書)などがある。最新刊の 『保育園義務教育化』(小学館)では、女性が置かれた理不尽な状況を描き、その解決策を示す。