運動不足だけど、体重だけは増えないようにカロリーを抑えている──。そんな人こそ太りやすくて不健康な体になりやすいことを知っていますか?「やせていても霜降り肉」の体から「健康的な赤身肉」の体へ。それが、スタイルが良くなりリバウンドもしない「大人の賢いダイエット」です。

 太ったからダイエットしなくちゃ! 女性の多くは体重が増えたときにそう決意するだろう。だが、「これが上限」と決めている体重の数字の根拠は?「体温が37℃を超えていたら高いと誰もが思うように、ダイエットを意識するなら、まず知ってほしいのがBMIという数字」と話すのは、筑波大学大学院人間総合科学研究科の久野譜也教授。「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で求められる数値で、体格指数ともいわれる。25以上が「肥満」だ。

 BMIでは普通、またはやせだったという人も、まだ安心はできない。BMIで見ているのは身長と体重の比率だけであり、やせているけれど体の中身は脂肪が多い、という「隠れ肥満」を見逃してしまうからだ。女性の場合、体脂肪率が30%以上なら肥満が疑われる。

 「脂肪が多いと、生活習慣病のリスクが高くなることが問題。一方、筋肉量が少ないと、女性の場合は特に、生涯の健康にかかわる数々の問題をはらむ」(久野教授)

BMIを調べてみよう

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)⇒25以上なら「ぽっちゃり」さん

日本肥満学会はBM(I 体格指数)25以上を肥満と定義し、さらにBMI35以上を高度肥満と定義している。

BMI早見表・下表で体重と身長の交差する所があなたのBMI

やせていても「かくれ肥満」かも

◆BMIは普通、またはやせ+体脂肪率30%以上⇒「かくれ肥満」
◆体脂肪率25%以上は要注意


 適正な体脂肪率については、成人女性は20~25%という説や、17~24%(~29歳)/20~27%(30歳~)という説がある。25%を超えたら要注意と考えたい。

 また、やせていればいいのかと思いきや、実はやせていると体重を支える力が弱いため、筋肉量が少なく骨は弱くなりがちだ。

 健康を左右するのは筋肉量。「女性は閉経後に骨が弱くなり、転倒をきっかけに骨折して寝たきり状態で長く過ごす人が多い。予防には骨を丈夫にしたいが、骨は20代をピークに弱くなり、止めることは難しい」(久野教授)。ではどうすればいい?「転ばないための筋力をつければいい。筋力は筋量に比例するので筋量を増やす。90代でも増やせる」(久野教授)。

 一方、脂肪は増やしたくない。内臓脂肪や脂肪肝は生活習慣病を招く。「過剰な脂肪は筋肉にも入り込んで機能を損なう。高齢者では筋肉が脂肪に変わることもある」(久野教授)。脂肪を減らし、筋肉は増やす。次のページで、自分はどのタイプかを知り、賢いダイエットを始めよう。