ついに瞑想の世界へ!
ついにヨガニードラの始まりだ。目を閉じ、深い腹式呼吸を終えると、先生の声が耳に届き始めた。
「まず、スタジオの外から聞こえるすべての音に意識を集中させてください。その音が何の音かは追究せず、ただ音として受け止めてください」
車の音……、鳥の声もする。そうか、車や鳥だと分析してはいけないのか。
「今度は、スタジオの中の音に意識を集中させます。ただ音として受け止めます」
時計の音が聞こえたが、それが時計だと思うことはやめた。
「次に、自分の体の中の音に意識を集中させます。呼吸の音、血液の流れる音……探ってみてください」
外から内へと意識を向けているようだ。ただ、どんなに探っても、血流の音など聞こえない。代わりに、体内を血が流れるようすを想像してみた。
「『私は絶対眠らない』と心の中で3回言いましょう」
サンカルパは自己宣言
「ではここで、サンカルパを言いましょう。自分の人生における宣言です。心の中で3回言います」
待ってました! 私は固めてきた誓いを心の中で唱えた。
(別荘建てるぞ! 別荘建てるぞ! 別荘建てるぞ!)
<先生の解説>
潜在意識が開かれているときに入ってきた言葉は、意識の中に強くとどまります。そして、本当のこととなって、日常がそのように回っていきます。ヨガニードラが、目を閉じて無になる瞑想と大きく違う点です。ただし、「別荘を建てるぞ」はサンカルパとしては問題があります。それは後で説明しますね。「今から体の部分を言うので、その部分に意識を動かしてください。右手の親指、人さし指、中指……ウエスト、お尻、太もも……」
速いペースでどんどん進む。後で数えたら、体の片側だけで31項目もあり、素早く意識を切り替えたためか、ひどく疲れた。