11月29日に開催された「WOMAN EXPO 2015 KOBE」。展示場内のオープンスペースにて、大分県日田市への移住プレゼンテーションが行われました。案内は、地元ケーブルテレビKCVコミュニケーションズ放送部ディレクターの原田梨加さん。熱い「日田愛」が語られました。

KCVコミュニケーションズ放送部ディレクターの原田梨加さん。
KCVコミュニケーションズ放送部ディレクターの原田梨加さん。

 大分県日田市が位置しているのは、福岡県、佐賀県、熊本県の県境、九州のほぼ中心地。そのため、昔から交通の要衝として重要な町といわれてきました。車で2時間あれば、主要都市に行けるという立地です。福岡空港から車で1時間10分くらいだそう。

 また日田市は、暑くもあり寒くもあり、四季がはっきりしている地域といいます。「360度ぐるりと山に囲まれた盆地になっています。過去に何度も“全国一暑い”町になりました。寒暖差も激しく20度くらい差があります」と原田さん。

 「女性は日田美人ともいわれ、四季折々を感じながら過ごせる町。そして、福岡県の生活と産業を潤す豊富な水が生まれる町です。ですので、お酒がおいしい。寒暖差が激しいので、果物がとても甘く育ちます。B級グルメとして日田やきそばもあるんですよ」(原田さん)

人生の余裕を生み出す“ゆったりさ”

 プレゼンテーションでは、都会から日田に引っ越して暮らしてみて、生き生きと暮らしている人のエピソードも披露されました。

 まず、福岡からご主人と一緒に移住された女性、井手さんの話。移住後、子供が生まれました。移住の理由は、ご主人が茅葺き職人なりたいと決意したから。職業訓練校にも通い、今では職人として働いています。井手さん自身もやりたいことを見つけ、草木染と織物を本格的に始めたそう。自分の時間を持ちながら仕事も見つけ、充実した時間を過ごし、ご近所との関わりも素直に受け入れられるようになったそうです。

 次に紹介されたのは、東京出身の20代・福沢さんの話。大学で林業を学び、それを活かした仕事をするために全国を探したところ、日田が自分にピッタリだと感じて移住したとのこと。服を買うにもお茶をするにも少し遠出をしないといけないけれど、意外なことに、東京にいたときよりも友達との交流が増えて、SNSなどでも頻繁にやりとりするようになったのだとか。

 そして、東京・下北沢でバリバリ働いていた夫婦の例も紹介。必死で働くうちに、仕事と育児の両立が辛くなり、ご主人の地元である日田に戻ることになったそうです。昼間は奥さんがカフェを、夜になるとご主人がバーとして経営。日田は人間関係が結構ゆるくてギスギスしていない、でもベタベタしすぎないバランスがいいと話していました。

原田さんが日田の魅力を語ります。「日田でゆっくりした時間を過ごしませんか」
原田さんが日田の魅力を語ります。「日田でゆっくりした時間を過ごしませんか」

 日田で暮らしている実例の紹介を受けて、原田さんは、「日田の“ゆったりさ”というのが、人生の余裕となります」と続けました。注目すべきは、彼女たちの通勤時間。「彼女たちの通勤時間はたった5分。1日を円グラフにしたら、うんと細い部分だけ。仕事の後は、子供たちや家族と過ごせる時間になります」と原田さん。

住居、仕事、子育て……さまざまな制度・環境整備が進む日田市

 移住した人たちが、家族と過ごす時間に加え、自分の時間も持てるようになったということは分かりました。ただ暮らすとなると、やはり生活環境や仕事の機会、住居などが気になります。ここからは、日田市役所の井上由香理さんが登壇し、日田市のさまざまな制度について説明してくれました。

 日田市は、飲料産業や木材関連産業が盛ん。井上さんによると、「木材関連産業というと男性の職場というイメージが強いですが、家具や木工品のデザイナーとして活躍する女性も増えています」。

 また日田市には頑張る女性を応援するべく、「女性若者起業支援資金融資」の制度があります。「女性が立ち上げた企業に対して、設備・運転資金として、500万円まで無利子、無担保、保証人不要で助成されます。もちろん事業計画書などの書類の提出は必要ですが、事業計画も市側が一緒に考えてサポートしますよ」と井上さん。

 そして魅力的なのは住居。温泉付き物件、格安物件もあるのだそう! 民間の不動産サイトのほかに、市でも空き家情報を紹介しています。「いきなり空き家を買うのは躊躇するという場合でも、月1万3100円で“お試し暮らし”ができる物件もあるんですよ。家族で住める戸建ての市営住宅も、空きがあればいつでも入居できます」と井上さんは説明します。移住する人には、引越の費用上限20万円まで、空き家の購入費用は最大100万円の奨励金が用意されているのだとか。

 子育て環境も充実。まず待機児童はゼロで、休職中でも最大3カ月、保育園に預けることができます。学校への送迎も車で10分程度、スクールバスが走り、地元のボランティアが見守っています。また医療費も手厚い補助があり、未就学児は入院・通院が無料、小中学生は入院費が無料となっています。

 ただ気になるのは……単身で移住して、出会いの場があるのでしょうか。「日田市に新しくできたスノーピーク奥日田キャンプフィールドができまして、入山者同士の交流が生まれています。また日田市は美味しい飲食店が密集しているので、そこでよく出会うという話もあります」とにこやかに答える井上さん。

 四季折々がはっきりしていて、シーズンごとの楽しみがある日田市。まずは旅行で魅力を確かめてみるのもよいかもしれません。冬は朝霧の中で入る温泉。春は日田天領おひなまつり。もちろんお花見も楽しめます。夏は日田祇園祭に舟遊び、そして花火が一番のオススメです。秋は千年あかり、日田天領まつり……とイベントが盛りだくさんです。

 「豊かさの価値はいろいろあると思いますが、日田の“ゆとりのある豊かさ”をぜひ感じてみてください」と原田さんが締めくくり、プレゼンテーションが終わりました。