ワーキングウーマンを対象とした国内最大級のイベント「WOMAN EXPO KOBE2015」が、11月29日(日)に開催され、各界で活躍する方々によるさまざまなセミナーが行われました。その一つでは、「たるみ専門外来」をオープンしたアオハルクリニック院長・小柳衣吏子先生が登場。「肌も気持ちも上向きに!たるみケアの最前線」と題し、気になる「たるみケア」について、美容皮膚科における最新治療の情報を交えながら、お話ししてもらいました。

たるみを引き起こす原因とは?スイーツ好きは要注意!?

 美しい肌とはどういう状態を指すのか。小柳先生は「肌色が均一である」ことだと言います。「しみやほくろがないというだけではなく、きめが整っている、肌が潤っている、しわができていないということも大切です」。肌に影を作るしわやたるみがないことが、肌色を均一に見せるための大きなファクターだそう。

手鏡を使った簡単なたるみチェック法を紹介。「自分が今、どのくらいたるんでいるかを認識して、日常生活からしわやたるみ改善や予防に気をつけてください」。
手鏡を使った簡単なたるみチェック法を紹介。「自分が今、どのくらいたるんでいるかを認識して、日常生活からしわやたるみ改善や予防に気をつけてください」。

 このたるみが生じる原因は、(1)光老化(紫外線による老化)(2)自然老化(経年による劣化)(3)糖化(余分な糖でタンパク質が劣化)(4)酸化(活性酸素が体を錆びさせる)(5)炎症(乾燥などで新しい細胞がうまく作れない)の5つ。紫外線などの影響はよく知られていますが、特に「糖化」という言葉は聞き慣れない人も多いかも。糖はエネルギー源となる重要な栄養素ですが、体内で余るとタンパク質にくっついてタンパク質を劣化させてしまいます。この糖化が進むと、肌が黄ばむ、弾力がなくなるなど、いろいろな弊害が出てくるんですね。でも、現代人は糖分を過剰に摂取しがち。「食事の際は『ベジタブルファースト』にして、食物繊維を先にとるとか、空腹時にケーキをたくさん食べないとか、そんなことを意識されるといいと思います」。食物繊維を先にとると、糖分の吸収が遅くなり、糖化防止につながるのだとか。

 このあと、ウルトラセル、タイタンなどの治療器を使った施術、コラプラスなどのたるみ改善成分導入、むくみをとるトリートメントのエンダモリフトなど、クリニックで行われているたるみ治療が紹介されました。

たるみ改善のキー「時計遺伝子」の働きに注目!

 では、普段できるたるみの改善法はどんなものでしょう。重要なファクターとしてまず挙げるのが、骨。女性は年齢とともに骨密度が減少して骨が委縮します。これは顔の骨も同様で、骨が減ると肌もたるんでしまうそう。骨のケアに大切になるのがカルシウムですが、そのままでは吸収されにくく、カルシウムを吸収させるためには、活性型のビタミンDが必要。キノコなどビタミンDのもととなる食品を多く摂取するとともに、日光浴すること、また、骨密度を上げるために、毎日30分以上の陸上での重力運動も心がけてほしいとのお話でした。

 次に、筋肉。顔の表情は細かい筋肉から作られており、その力のバランスが弱くなると、顔の筋肉が下がってしまいます。経年とともに口角も下がって「への字」になってしまうので、普段から意識して口角を上げるようにしてほしい、と小柳先生は指摘します。

 そして、最後の要素、肌のケア。紫外線カットに加え、30代、40代から激減するコラーゲンやエラスチンなどのケアを行うことが大切です。そこで、これらを生み出す線維芽細胞を活性化させるキーとして、着目されているのが、体内時計をコントロールする時計遺伝子。細胞が老化すると、時計遺伝子の発現のリズムが狂い、コラーゲンやエラスチンを生み出す働きが低下します。時計遺伝子を正常に機能させるには、睡眠のリズムを整えることも重要で、「睡眠を軽視している人が結構多い。何時から何時までと時間を決めて、寝ることを目標にしてください」と、小柳先生。加えて、朝日を浴び、毎日同じ時間に朝食を食べることも心がけてほしいということでした。

「新しいスキンケアの知識を知っておくなど、頭を使ってスキンケアをしてください」と小柳先生(右)。
「新しいスキンケアの知識を知っておくなど、頭を使ってスキンケアをしてください」と小柳先生(右)。

 運動や食事、睡眠など、忙しいなかでも意識して日常生活を送ることが、たるみケアの基本になるのだと、痛感した今回の講演でした。