11月29日、神戸ハーバーランドにあるホテルオークラで開催されたワーキングウーマンのための国内最大級のイベント「WOMAN EXPO KOBE 2015」。300人収容のB会場では、女子バレーチーム指導者の眞鍋政義さんが登壇。BSジャパン モーニングプラスキャスターの榎戸教子さんを聞き手に、女性のチームづくりの秘訣を熱く話してくれました。

女性チームをまとめるコツ。結束すればパワーは無限大!

日本のトップチームを指導するバレーチーム指導者の眞鍋政義さん
日本のトップチームを指導するバレーチーム指導者の眞鍋政義さん

 女性が多い職場で苦労しているリーダーは案外多いのではないでしょうか。人々の記憶に残る歴史的な勝利をリードした眞鍋さんも「男性とは違って女性はなかなかまとまりません。しかもはじめはすごく観察されるんですよ。初日から辞めたいと思いました」と苦笑い。その後いろいろ勉強し、女子チームに大事だと感じたのは「平等と公平」。レギュラー選びも皆が納得するようにと考え抜いた結果、アタック決定率など明確な「数字」を出すことにしました。眞鍋さんの代名詞でもあるiPadを駆使した「IDバレー」は、実はこうして生まれたそうです。

 「数字・データを大事にすることは、客観的に物事が見られて納得してもらえます。一般企業でも役に立つはず」と語る一方で、「数字だけでもダメ」と、選手との関係性を築くことの大切さも指摘します。そのための努力も惜しまず、夕食時に会話が盛り上がるよう、マネージャーから選手ひとりひとりの趣味など細かな情報を事前に得ているとか。そして、「心を開いてもらうためには自分から心を開かなくてはいけない」と真摯に訴えかけました。

 「まとめるのに苦労の絶えない女子チームですが、結束すると男子チームを遥かに超える大きな力を発揮する」と真鍋さん。チーム力を引き出すために、「(1)上から目線は禁物。選手と同じ目線で一緒に目標に向かっていく、(2)選手の個性を理解し5つのタイプ別グループに分けて対応。成長のために信じて役職や役割も与える、(3)部下・同僚を巻き込む。スタッフミーティングを毎日行い情報を共有してフォローし合う」なども行なっています。その結果はご存知の通り、2012年のロンドン五輪で28年ぶりのメダル獲得という快挙を達成しました。

眞鍋流の秘策! チームと自分自身のモチベーションはこうして上げる

世界一を目指す眞鍋さんが女性チーム作りのコツをアドバイス
世界一を目指す眞鍋さんが女性チーム作りのコツをアドバイス

 大事な試合の前に眞鍋さんが必ずしていることは、自ら作成した約5分のモチベーションビデオを選手・スタッフ全員で見ること。年に2、3本は作るというこのVTRは、選手だけでなくスタッフ全員が出演していることがポイント。ウルッとくるように仕上げられ、見る時は心の中に入ってくるよう、真っ暗にして音量を上げるのだとか。

 五輪でも準々決勝とメダルマッチの大事な2試合の前日に見せて全員が号泣。モチベーションアップを成功させ、見事に勝利をもぎ取りました。会場でもそのVTRを実際に鑑賞。思わずハンカチを握った人も多数いました。このモチベーションビデオは、今では多くのチームスポーツでも実践していて、会社でもチームで動くプロジェクトなど多彩なシーンでも活用できそうです。

 そして、目標の達成のためには「『姑息ね』と言われることもありますが(笑)、いろいろ考えて独自のアイデアで何でもする」のが眞鍋流。五輪でデータ分析をかく乱させるために背番号を変更したことでも有名でしょう。さらにスポーツで培ってきた経験から「プラス思考が大事」ともおっしゃられていました。

 自身も超ポジティブと豪語する眞鍋さんの公演は、笑いあり涙ありと起伏に富んだあっという間の45分間でした。多くの女性リーダーの心に響いたようで、帰りに「視点が違う」と感嘆の声もあがっていました。

変更履歴:記事内容を一部修正しました(2015年12月19日)