大好きな人やお世話になっている人への贈りものとして、多種多様なチョコレートが行き交うバレンタイン。「チョコレートばかりこんなに食べられないよ」という人気者の嬉しい悲鳴や、「変わり映えしないチョコレートではなく、もっと違うものを贈ってみたい」という気遣い上手な女性たちの声も聞こえてきます。
 今回は、そんな声に応えてくれる和風バレンタインスイーツを、カリスマ和菓子バイヤーの畑主税さんにご紹介いただきましょう。

 津々浦々の和菓子店を行脚しては、自身の五感をフル活用してその魅力を探り続ける和菓子バイヤーの畑さん。

「バレンタインはチョコレートを贈る日とされていますが、チョコレートに捉われる必要はないと思いませんか? 味わい深くて美しい和菓子もまた、バレンタインギフトにぴったりですよ」。

 今回畑さんがセレクトするのは、チョコレート色の和菓子6種。歴史ある老舗の伝統菓子から、新たな試みによって生まれたニューフェイスまで取り揃えています。手渡すときのプチ情報としても喜ばれる和菓子店解説も必読ですよ。

 今年は上質な和菓子のプレゼントを携えて、ひと味違うバレンタインを演出してみてはいかがでしょうか。

 まずは、思わず「チョコ?」と勘違いしそうな、丸みが特徴の真っ黒なかわいい和菓子を3つ挙げていただきました。

左から、亀屋良長の「烏羽玉(うばたま)」、澤田屋の「くろ玉」、清水屋の「黒大奴(くろやっこ)」。断面図の見た目も味もそれぞれ個性が!
左から、亀屋良長の「烏羽玉(うばたま)」、澤田屋の「くろ玉」、清水屋の「黒大奴(くろやっこ)」。断面図の見た目も味もそれぞれ個性が!

 それでは一つずつ紹介していきましょう。

■亀屋良長(かめやよしなが)
「烏羽玉(うばたま)」 6個入 450円(税抜)

 一見すると、ミルクチョコレートでコーティングされたトリュフのようなビジュアル。しかし実際には、200年もの長きに渡って愛される息の長い和菓子で、チョコレートは一切使われていません。日本最南端の島である波照間島の黒糖を使用したこし餡に、寒天をかけてつや出し。豊かな甘味が広がり、赤ワインやコーヒーとの相性も抜群な伝統の和菓子です。

【和菓子店について】

 200年以上もの間受け継がれる「烏羽玉」のような銘菓がある一方、新たな挑戦も。2010年には、パリの2ツ星レストランでパティパティシエをしていた藤田怜美とのブランド「Satomi Fujita by KAMEYA YOSHINAGA」を立ち上げ、新たな和菓子の可能性を追求しています。

【DATA】
亀屋良長
URL:http://kameya-yoshinaga.com/
住所:京都府京都市下京区四条通油小路西入柏屋町17-19
TEL:075-221-2005
お問合せフォーム:https://secure.shop-pro.jp/?mode=inq&shop_id=PA01288993

■澤田屋
「くろ玉」 4個入 500円(税抜)

 ピンポン玉サイズのまっ黒な球体の和菓子です。表面を覆うのは、沖縄県多良間島の黒糖を原料とし、大釜を使って丁寧に練り上げられた羊羹。中には、北海道産の青えんどう豆を炊き上げたホロホロ食感のうぐいす餡が入っています。口に入れる前に堪能したいのは、羊羹の黒と餡のうぐいす色が織りなす美しいコントラスト。目にもおいしい逸品です。パッケージには名将・武田信玄にまつわる文言が記され、歴史好きの人にもおすすめ。

【和菓子店について】

 看板商品は1929年に考案された「くろ玉」。そのほか、お客さまの嗜好の変化に適応するお菓子作りを目指し、「スイートポテト」などの洋菓子も展開しています。近年人気の「キャラ玉」は「くろ玉」の妹分。さつまいも餡をキャラメル羊羹で包んだ新感覚の和菓子です。

【DATA】
澤田屋
URL:http://www.kurodama.co.jp/
住所:山梨県甲府市向町375
TEL:055-235-5545
お問合せフォーム:https://secure.shop-pro.jp/?mode=inq&shop_id=PA01312552

■清水屋
「黒大奴(くろやっこ)」 15個入 900円(税抜)

 ツヤツヤとしたリッチな光を放つ表面は、職人の技によって昆布が練り込まれた羊羹。その内側には、柔らかな食感のこし餡が包まれています。口にするとまず、甘さの中にもほのかな塩味と旨味が感じられ、そこに、サラリと口溶けのよいスイートなこし餡が合流。多層的な味わいを堪能できる一口スイーツです。箱の中に整然と並ぶ姿も美しい。

【和菓子店について】

 東海道の銘菓を語るうえでは欠かせない、江戸時代から続く老舗。名物である「小饅頭」は、東海道五十三次の宿場町・島田宿に留まっていた紀州浪人から伝授されたというもの。また「黒大奴」は、日本三大祭のひとつ「帯祭り」にちなんで明治時代に作られたお菓子です。

【DATA】
清水屋
URL:http://www.komanjyuu.jp/
住所:静岡県島田市本通り2-5-5
TEL:0547-37-2542
お問合せフォーム:https://cart7.shopserve.jp/ks-shop432.qi/FORM/contact.cgi