SNSを見てモヤモヤ、他者から言われた言葉に必要以上に傷つく。仕事が予定通りに進まなくてイライラ――世の中も自分も「不寛容」だと感じていませんか。心理カウンセラーの下園壮太さんが、自分を追い込まずに寛容力を育てていくコツを教えてくれます。
7回目は、頑張り続けて疲れ果てた結果、誰もが陥ることがある「うつ状態」とは何か、さらにうつから人はどのように回復していくのかを教えていただきます。
自分でも訳が分からない。周囲にも理解してもらえない
あなたの身近に、「うつ」や「うつっぽい感じ」になった人はいるでしょうか。あるいは、あなた自身がかつてとても苦しい状況にさらされ「うつっぽいかも……」と自覚したことがあるかもしれません。
まず、うつとはどのような状態かについてお伝えしておきましょう。
・ほとんど毎日、ほとんど一日中、悲しく、落ち込んでいる
・何に対しても興味や喜びを感じなくなる
・体重が減少(あるいは増加)する。食欲が極端に減少(あるいは増加)する
・不眠や悪夢に苦しむ。長時間眠っても昼間もまだ眠い
・焦っている(あるいは物事への反応が鈍る、感じない)
・とても疲れやすく、何事もおっくうになる
・自分は価値のない人間だと思い、自分を責める
・頭が働かない 決められない 仕事の能率が落ちる
・死にたくなったりその行為を起こす
(米国精神医学会診断基準DSM-5VI:大うつ病エピソードをもとに抜粋)
うつ状態は、本当につらいものです。
自分が「別人」になってしまい、これまで意欲や自信を持って生きていたことが嘘のように感じられます。体力も気力もなくなり、何のために生きているかさえ分からなくなります。時々襲ってくるそんな苦しさの波に飲み込まれてしまうのではないかと不安になる。その一方で、もう一生これを打開できないのなら死んで終わりにしたいという考えもちらつく。ぎりぎりのバランスで生活している自分の「もろさ」を周囲にはなかなか理解してもらえません。
これまでにも何度も紹介した1段階、2段階、3段階のエネルギー低下レベル。うつは「3段階」の状態です。
そこまではいかず、職場には通えているけれど、2段階と3段階のちょうどぎりぎり境界線ぐらいのところで「うつっぽい。なんだか調子悪い」と悩んでいる人は本当にたくさんいる、と私は実感しています。