自分をどう客観的に見つめるか

自らデザインしたリーディンググラスを持つ野宮さん
自らデザインしたリーディンググラスを持つ野宮さん
自らデザインしたリーディンググラスを持つ野宮さん

LiLiCoさん おしゃれは、世代で変わったりとかしますか?

野宮さん やっぱりありますよね。自分自身が年齢とともに変化していくから。それに合わせてちょっとずつアップデートしていかないといけないですね。「これを着たら絶対いい」と若いときに信じ込んできたものをずっと着続けているとギャップができて、「痛い」感じになっていく場合もある。客観的に自分を見つめて、「今の自分」を知るのが一番大事だと思いますね。

LiLiCoさん 「ずっと若く見られたい、年を取ったときでも30代に見られたい」って思っていても、自分が若いときに着ていたような服を年齢を重ねた他の人が着ているのを目の当たりにすると、「痛いな」と思って。そこで自分を見直すきっかけになりますね。

野宮さん 簡単におしゃれに見えるトリックはたくさんありますから、皆さんにお伝えしたいです。先日出した「おしゃれはほどほどでいい 『最高の私』は『最少の努力』で作る」(幻冬舎)では、そういうことを書いています。

LiLiCoさん 本の中では、「年齢は数字」というような話が目立ちましたが。

野宮さん 年齢は「超越」することにしました(笑)。というか、日本って若い女の人がいいという風潮がありますよね。日本とフランスなどヨーロッパとの違いでしょうか。日本酒は、初物がいいという。新しいもの、フレッシュなものがいいとされているんだけど、ワインは手をかけて熟成させてそこでおいしさ、価値が生まれる。文化の違いもあると思うんですけど、人間も女性もワインと同じように、年を重ねて、熟成して美しくという価値があるといい。(年齢を重ねても)自分もちゃんと好きでいたほうがいいと思うし、男性ももっと褒めたほうがいいですね。

LiLiCoさん 私は「経験」だと思っています。シワは、「笑った数」を示すとか。でも男性たちの意識がね……。

野宮さん そこらへんが変わると、日本も成熟した社会になるんじゃないかと。若い女性、成熟した女性、どちらもその時々の魅力がある。若いときはそのときにしかできないファッションがあって、年齢を重ねたらまた似合ってくるものがある。年齢を重ねたからと諦めないでほしい。諦めたら本当にそこで終わってしまいます。

LiLiCoさん 私はスウェーデン出身ですが、すごくすてきな大人の女性がいっぱいいるんですね。男性もどんどんダンディーになっていく。どんどん自分のことを理解して。ああ、こういう大人になりたいってずっと思っていたんです。

 だけど、日本に来て、隣の人と比べちゃうというか。例えば、30代の女性なら、「私は彼氏もいなくて仕事を毎日していて、でも隣にいるマリコちゃんは彼氏もいてとか、旦那さんもいて子どももいて」――みたいなことを言っている。でも、それってそのマリコちゃんと比べているだけですよね。全然結婚したくない人もいるとか、いろんな生き方があるのに、隣と比べて、皆が同じになるようにしている気がするんです。

野宮さん そうですね。だから、おしゃれが分からないって悩んでいる方は、他人からどう見られるかをすごく気にしていたりするのですが、そんなに人は見てませんから。

LiLiCoさん そうですよね。自分が気にしているほど見ていない。

野宮さん でも、皆さんそれぞれ絶対チャーミングな部分を持っていると思うから。見ていないといっても、その部分をちゃんと見ている人もいる。すてきだと気付いてくれてる人もいる。だから、そんなに見られてないから何もしないということではなくて、ほどほどにおしゃれして。

 「ほどほど」というのは、度を越さないこと。何もやらないのは女性として寂しいと思うし。だからといって頑張り過ぎちゃうと、少しかけ離れちゃうのかなと思って。ほどほどぐらいに、楽しんできれいになって、それで余った時間に好きなことをしたりとか。そういうぐらいでいいんじゃないかと思っています。