議事録は、必ず「当日配布」する

 会議の議事録とは何か。

 日付、参加者、場所が記されただけでは、議事録とは言えない。また数十ページを超えるのも議事録として機能しない。意思決定のための「決定」会議なら、何が「決定」されたか。アイデアを広げるための「拡大」会議なら、何が「拡大」されたか。連絡を徹底するための「共有」会議なら、何が「共有」されたか。

 それらの成果が簡潔に記録されたのが議事録だ。目的に対してのゴール(成果)が記録されて初めて議事録になる。

 そして、その議事録は、会議当日に配布されないと意味がない。

 なぜなら会議室を一歩でも出た途端、参加者の全員に次の仕事が待っていて、会議の内容は忘却の彼方へと押し流されてしまうからだ。会議が終わった後に書くから議事録はどうしても後回しになりやすい。その多くは、会議の翌日以降に配布されていないだろうか。

 会議の内容を行動化するには、それではいけない。参加者の記憶がフレッシュなうちに、メールにベタ打ちでも、スマホで撮影した写真だけでもいいので、当日に送ろう。

 「丁寧さ」より「拙速(せっそく)」を重視するのだ。議事録にはパターンがある。それを定型化し、内容を簡単に書き込めるように準備しておけば、労力が激減する。議事録に必要な要素は次の5つだ。

(1)情報:日時、場所、参加者など

(2)目的:終了条件

(3)議事:論点は何で、何が論じられたか

(4)成果:何が決まったか

(5)NEXT STEP :タスク、担当者、期日

 例えば、下のように書くといい。

 ポイントは、なるべく1枚にまとめることだ。参加者が目を通しやすいし、議事録を書く方も労力がかからず、配信が早くなる。

 議事録に必要な5つ要素のうち、最も記述が難しいのが3つ目の「議事(論点と発言内容)」だろう。最大限、余すことなく参加者の発言を盛り込むのは難しい。そのために2つのコツを紹介しよう。

 1つ目は、議事録の議事は要点を3つ以内にまとめること。

 2つ目は、細かな発言や会議の流れは書記役にホワイトボードに書いてもらい、それをスマホで撮影して、付属資料として議事録に添付すること。

 議事録の役割は、あとから振り返って記憶を呼び起こすものだ。

 大きな流れは、1枚の議事録に収める。小さな流れは、ホワイトボードの進行写真と役割分担させよう。

文/横田伊佐男 イラスト/和田ラヂヲ


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