「会議」が変われば、「仕事」が変わる。「仕事」が変われば、「会社」が変わる。「会社」が変われば、「人生」が変わる。そんな、極めつきの「ムダゼロ会議」術をお届けする。今回は、どんどん発言する場をつくる方法について。すぐ実践できる、具体的なセリフも紹介しよう。
まずはボルテージ(熱)を上げよ!
いよいよ、会議が始まる。会議は「前半」と「後半」に分ける。
「前半」はふろしきを広げるべく、拡散していきたい。つまり、どんどん発言する「場」にしていく。
そのために必要なことは、テクニック以前に「雰囲気」だ。どんどん発言してもいい、発言したいという「ムード」「空気」とも言い換えられる。
「ムード」を上げていきたいが、ここで大きな問題がある。
会議の場には普通、「熱」がない。「熱」なしには、たくさん発言したくなる雰囲気はつくれない。
「熱さと嬉しさ」がある結婚式場なら、気分も高揚して冗舌(じょうぜつ)になるが、「冷たさと悲しさ」に包まれた葬儀場では、無口にならざるを得ない。そういう「ムード」だからだ。
多くの会議の場にも熱い「ムード」がない。コンサート会場のように最初から白熱した雰囲気で始まることは、ほぼない。熱がなく、白けた硬い雰囲気から出発する。
特に月曜朝イチの会議などは、よほど朝型で意識の高い人たちでもない限り、最悪の「ムード」だ。誰もが目をこすり、あくびしている。夕方の会議であれば、一日の疲労がたまり、めんどくさいオーラを発している人もいるだろう。
そんな時に議長がすべきことがある。
ボルテージ(熱)を上げることだ。
まずは、自分自身に。そして、それが参加者に波及するように。
筆者は年間数百回、こんな場面の火付け役を担っている。
研修講座の最初、特に朝はいつも硬い雰囲気からスタートする。参加者はいくつかのグループに分かれてもらうが、公開研修の場合、見ず知らずのビジネスパーソンと隣り合うことも多い。その雰囲気ったらもう、毎回毎回、氷のようにガチガチだ。
これを解きほぐし、短時間で一人ひとりが当事者意識を持ち、ボルテージ(熱)を上げるための工夫が、私に求められる。色々な経験を経て、氷のような空気をあっという間に溶解し、ボルテージを上げる4つのコツを編み出した。今回はそれを紹介しよう。
その4つのコツとは、次の通りだ。
2.「Never Say No!」
3.「一斉発言」
4.「見える化」
まず、「アイスブレイク」から紹介しよう。
「アイスブレイク」で硬い空気を砕く、氷を打ち砕くという意味の「アイスブレイク」。
筆者は、数十種類のアイスブレイクの手法を持っているが、最もカンタンなのは、最初の発言の順番をおもしろおかしく決めてあげることだ。
例えば、4人テーブルで自己紹介をする場合。その時、私が「ある条件で順番を決める」というシンプルな技だ。
【アイスブレイク例(1)】
(講師)「えー、ではグループ内で自己紹介してください。順番は、私が決めますね。では、グループメンバーの顔をよぉーく見てください」
……(5秒)。
しばしの間を置いた後、こうお願いする。
「一番、『眉毛の太い方』から順に、時計回りにお願いします!」
すると、必ず「どっ」と笑いが起き、硬い雰囲気が一瞬で柔らかくなる。同様の方法を少し紹介しよう。
【アイスブレイク例(2):出生地順】
(講師)「では、出生地が最も北の人から順に自己紹介してください」
参加者が、「私、北海道だから最初か」「オレは沖縄だから最後だな」とか、出生地を開示するきっかけになる。
【アイスブレイク例(3):プライベート開示】
(講師)「自己紹介の際、仕事の話は一切なしで、最近プライベートで嬉しかったことを1つ教えてください」
大抵、「ゴルフが趣味」「子供の年齢が近い」などで話題が広がりやすい。
これらは初対面向けのアイスブレイクだが、同じ会社であれば、社内のあるあるネタのクイズから始めてもいい。
空気を和らげた後は、主体的に会議に参加をしてもらう工夫だ。なんとしても、「発言しない」「眠ってしまう」という事態を回避して会議に参加してもらいたい。
そこで役立つのは役割分担だ。
リーダーのほか、タイムキーパーや書記、議事録役などの「役割」を振っておく。応用テクニックとして、たくさん発言する役、正反対の意見を言う役などを割り振る場合もある。
役割を振ると、早速、効果が出始める。彼らが会議で眠らずに動き出すのだ。そして雰囲気が「熱」を帯びてくる。
――タイムキーパーが10分ごとに経過時間を知らせる
――書記がホワイトボードに経過を書き込む
このように、参加する誰もが少しずつアクティブになっていく。会議という「舞台」の「演者」を増やしていくことが、ボルテージを上げる秘訣だ。
会議は、同じ時間、同じ空間の中で、参加者がほかの参加者を見ている場だ。だから役割を与えるだけで、割り振られた担当者は、着実に仕事をこなしてくれる。
議長が孤独にならず、あらかじめ数人の味方を巻き込んでおくと、どんどんラクにボルテージを上げられる。
こうした「前さばき」にはさほど労力が要らない。が、効果は絶大だ。
空気が暖まったところで、発言量を増やす2つ目のコツに入っていこう。