「軌道修正」が容易になるのだ。

 例えば、「枝」にそれ始めた論議はなかなか元には戻らない。だが「見える化」しておけば、誰かが気づいて「幹」に立ち戻ることができる。

 会議の前半はやりたいことや夢を大いに発想、発言して「見える化」してほしい。イマジネーションが広がれば、それは、とてつもないパワーを生む。

 現代、我々が利用している最も安全な乗り物は飛行機と言われている。自動車と比較しても圧倒的に事故が少ない。

 だがライト兄弟が飛行機を発明するまで、それはナンセンスな乗り物だった。ライト兄弟は夢をふろしきに広げて、墜落しないように突き詰めたことで現代の飛行機工学を発展させた。

 最初の段階で、「人だって空を飛べる!」とポジティブに夢を膨らませなければ、飛行機は発明されなかったはずだ。

 その後は「飛行機は墜落する乗り物」であることを前提に、そうならないようにネガティブに突き詰める努力なしには、最も安全な乗り物という位置付けも勝ち得なかっただろう。

 「人だって空を飛べる!」と夢を膨らませたように、会議の前半戦はとにかくボルテージを上げて、すべてを肯定しよう。

 後半戦で「墜落しないためには、何が必要か」と現実を見て、成功の精度を上げていけばいい。

文/横田伊佐男 イラスト/和田ラヂヲ


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